日米を襲う「債券バブル崩壊」の恐ろしい結末

株の下落の次に何が待ち受けているのか?

市場ではこのころから「債券バブル」が言われ始めたが、呼応して「金利上昇」で最初の株の下げが来た。ダリオ氏はリーマンショックの大混乱の際、ベン・バーナンキFRB議長が最初にアドバイスを請うた人だ。金融の博士号をもち学者の頂点に立ったバーナンキ議長も、マーケットのメカニズムではその道の第1人者の知識が必要だったということだ。

そのダリオ氏が説いた債券バブルの概略は、こうだ。債券市場の拡大は経済成長には必須であり、基本的に緊縮財政論は間違い。ただしその拡大には通常の景気サイクルと、長期の歴史サイクルの2つがある。

前者では投資資金は正当なリターンを生むが、後者では事前に必ず起こる異常な金融緩和の結果、発行条件が緩み、あちこちで財政ファイナンスや、借金を借金で返す借り換えが横行する。その場合、債務拡大は有効性を失い、最終局面では債券バブルとなるとしている。その中には、今の社債ブームを牽引した「チープマネー」で社債を発行し、設備投資よりも自社株買いで株主を喜ばせ、数百倍とされる従業員との報酬格差を維持するトップ1%の経営スタイルも含まれる。

巨万の富を持つダリオ氏の「警告」とは?

ダリオ氏は、今がその歴史サイクルの末期だとは断定していない。だが前回の長期サイクルの末期だった1930年代と現在の類似性を挙げている。アメリカの歴史でFED(中央銀行)が金利をゼロにしたのは1930年代とリーマンショック後の2回だけだ(1930年代の政策金利は、FFレートはなく準備金比率)。

1930年代、アメリカ経済はF・ルーズベルトのニューディール政策でいったんは回復をみせる。だが、低金利下で財政拡大し、1937年にはFEDは金利引き締めに転換した。すると株価は高値から60%も下落。その後は金融政策では景気は回復できず、最終的にアメリカは第2次世界大戦という「戦争経済」へ突入していった。つまりダリオ氏は「財政拡大は悪ではない。だが債券バブル化したあとも野放しにすると、最終的には1930年代と同じことが起こる可能性がある」と警告したのである。

ダリオ氏はこの本を無料で公開している。10月からの株の下落局面で、筆者が知る最も弱気なコメントは、アメリカ株は40%から60%の調整になるというものだ。恐らくダリオ氏の話を聞いたのだろう。個人資産数千億円のダリオ氏が本を売って金儲けをする必要はなく、またブリッジウォーターは売りを煽って儲けるヘッジファンドではない。ダリオ氏が本を無料で公開したのは、次の時代を担う若い人に、彼の知識と経験を共有してもらうことだった。

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