日米を襲う「債券バブル崩壊」の恐ろしい結末 株の下落の次に何が待ち受けているのか?

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そして2018年初のリポートでIMFは債券市場の膨張による債務問題を次の世界経済の最大の危機として取り上げた。経済の建前ではなく、政治の裏を読めば、IMFはトランプのアメリカにも一党独裁の中国も両方警戒している。彼らが債券(国債)を好き放題発行し、世界で好き放題されては困るということだ。

日本が世界の財政規律重視路線を無視すればどうなる?

ならば国際政治上の「キャピタル戦争」の本質は、敵対国の債券市場を縛り、自国の債券市場を拡大するモノポリーゲームの駆け引きになる。中国の立場になれば、現状の膨大なシャドーバンキングの負債を選別しながらいったんは国家のバランスシートに移すしかない。救いは、それはリーマンショックでアメリカがやったことである。

中国のベストシナリオは、その課題を、時間をかけて達成することで、国内の債券市場は整備され、最終的には、中央銀行としての人民銀行の機能が、今の貿易黒字で貯めたドルをベースにしたシステムから、先進国のように、国債を引き受けることで流動性を供給する近代化へ転換すること。一方で覇権を譲れないアメリカはそんなことを許してはならない。だが、アメリカが自国の金融ビジネスをどこまで制御できるか疑問だ。マネーに国境はない。国際金融の原点は戦争当時国の両方にお金を貸すことだ。最終的にどちらからが勝ってもその先はモノポリーが始まる。

その意味で戦後の日本は本当に平和的優等生だった。東日本大震災でも財政の健全化を掲げ、2019年は消費増税まで導入しようかという状況である。ダリオ氏もいうように、個人的には日本を支配する財政緊縮論には反対である。だが一方で債券市場のメカニズムを見る立場では、世界を支配する金融エリートの潮流がリーマンショック直後の財政拡大容認から、今は彼らにとって最悪のトランプ大統領の再選と野心的な中国の膨張を防ぐため、財政規律重視へ回帰してしまった現実を見る以上、その潮流に逆らうは困難だと思う。

仮に日本が直近のカルロス・ゴーン氏逮捕にも見られるような「ダボスルール」の無視を財政面でも断行すれば、相場観で言うと、外国人が支配する日本の株式市場は国際金融筋によって売りたたかれると思う。その時、日本はその圧力に勇気をもって立ち向かえるのだろうか。その際人質になるのは日本銀行だ。中央銀行が株を買う例は日銀だけではないが、他のスイスや北欧などは市場規模が小さい。規模が大きく、中国と違いすでに金融市場を開放してしまった日本で日銀の「ソブリン性」が傷つけば、日本株はその瞬間からハイエナのようなヘッジファンドの絶好のターゲットになる恐れがある。

2018年初、アメリカでは「10年目のジンクス」が囁かれた。1998年にLTCMの崩壊が起こり、その際は民間の負債(LTCMのポジション)を大手銀行が引き取った。そして2008年のリーマンショックでは、その大手銀行の負債を中央銀行(国)がいったん引き取った。なら2018年は、中央銀行(国)のソブリン性が揺らいだ場合、最悪そのポジションは誰が引き取るかのかという話題だった。結論は「IMFのような世界組織が救済するしかない」ということだった。その時はそんな話と日本は無関係だと考えた。2019年も無関係であってほしい。

滝澤 伯文 CME・CBOTストラテジスト

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たきざわ おさふみ / Osahumi Takizawa

アメリカ・シカゴ在住。1988年日興證券入社後、1993年日興インターナショナルシカゴ、1997年日興インターナショナルNY本社勤務。その後、1999年米国CITIグループNY本社へ転籍。傘下のソロモンスミスバーニーシカゴに転勤。CBOTの会員に復帰。2002年CITI退社後、オコーナー社、FORTIS(現在のABNアムロ)、HFT最大手Knight証券を経て現在はWEDBUSH傘下で、米国の金融市場、ならびに米国の政治動向を日系大手金融機関と大手ヘッジファンドに提供。市場商品での専門は、米国債先物・オプション 米株先物 VIXなど、シカゴの先物市場商品全般。

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