グーグルは情報の信頼性向上に貢献するのか

ニュースラボが始めたフェイクニュース対策

Google News Labが力を入れているのは、すでに説明したような「フェイクニュースへの対策」だ。具体的には、信頼性の高い情報を提供するための監視団体や信頼性向上に取り組む団体への支援である。

たとえば「CrossCheck」というプロジェクトは、Google News Labとハーバード大学のフェイクニュース対策プロジェクトである「First Draft」とのコラボレーションによるもので、選挙の際にソーシャルメディア上に出回る誤報への対応を目的としたものだ。

同様に、地域メディアの活性化にも力を入れている。地域メディアは対象人口が少なくなるがゆえに広告が集まりにくい傾向にあるが、人々の生活には重要だ。アメリカでグーグルが提供している「Bulletin」というサービスでは、非常に狭い地域に密着したニュースに特化したポータルを提供し、そこにニュースを供給する人々を支援している。

同様に、人材育成にも力を入れている。良いニュースを作るには、良いジャーナリストが必要だ。報道機関での育成に頼るだけでなく、独立系ジャーナリストのトレーニングを支援する活動や、マイノリティーのサポートを中心とした報道機関の育成支援などを中心に活動している。報道機関やジャーナリスト向けにトレーニング支援の窓口を用意しており、そこに連絡することで、より強い関係を構築できるようにもなっている。

残念ながら、日本での活動はあまり目立っていない。日本語のページも用意されてはいるが、具体的に日本向けの支援策が発表されている状況にはない。とはいえ、アメリカ以外の国での活動も行われており、将来的に日本に広がる可能性は高い。

最大の成果「ファクトチェック・ラベル」は空振り?

一方、Google News Labから生まれた成果が理想的に機能しているのかというと、そうとも言えない。前述のような活動は、本質的ではあるがいかにも地味だ。「初めて知った」という人も多いのではないだろうか。

これらとは別に、テクノロジー面での施策も含め、大きな成果として展開したものもある。それがアメリカで2016年10月にスタートし、2017年4月には日本も対象国となった「ファクトチェック・ラベル」だ。これは、グーグルの検索対象およびGoogle Newsに表示される記事について、世界の100を超える機関による検証を行い、結果として「正しい」と思われるものに「ファクトチェック」というラベルが表示されるという仕組みである。

グーグルの検索エンジンの仕様に盛り込まれており、ニュースメディア、情報サイトの管理者がこのラベルを信頼性向上のために活用することができるよう、技術的な整備も行われている。ファクトチェック・ラベルのための検証機関ネットワークは、Google News Labの成果の1つと言っていい。

だが、現在のネットをみても、ファクトチェック・ラベルはほとんど機能していない。その存在を意識したことがある人はほとんどいないはずだ。特に日本では、運用からすでに1年半が経過しているものの、実際に目にすることはまずない。一生懸命探しても出てこないほどだ。

なぜなのか? それは、仕組みとしては存在するものの、まずチェックされるニュースが「Google Newsのガイドラインに準拠している」必要があるということだ。それを意識してサイト構築を行っているのは、かなり規模の大きなニュースサイトが中心。だが、SNSでシェアされるフェイクニュースの多くはそうしたことを意識していない。だからこそ、グーグルがかけた「ファクトチェックの網」にはかからず、普通に情報が流通してしまう。

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