「70年ぶり大改革」で日本漁業は復活するか

過去30年で生産倍増、世界の漁業は成長産業

長崎県五島市でクロマグロに餌やりする「ツナドリーム五島」の担当者(写真:共同通信)

水産政策における「70年ぶりの大改革」となる改正漁業法が12月8日に可決・成立し、同14日に公布された。これから法の運用に関する細目を政省令で定め、施行は2020年となる見込みだ。

なぜ今、漁業の大改革なのか。改革の目的について、政府は「水産資源の適切な管理と水産業の成長産業化を両立させ、漁業者の所得向上と年齢バランスのとれた漁業就業構造を確立すること」と説明している。国会審議で吉川貴盛・農林水産相は「漁業生産量が長期的に減少し、漁業者の減少・高齢化も進む中、改革は待ったなし」と訴えた。

かつて世界一を誇った日本の漁業生産量は、ピークだった1984年の1282万トンから2016年には436万トンと3分の1に激減した。1982年の国連海洋法条約で200カイリが各国の排他的経済水域(EEZ)に設定され遠洋漁業が縮小したことや、海洋環境の変動によりマイワシの漁獲量が大幅に減ったことが大きいが、実効性のある資源管理が行われずに乱獲や密猟、外国漁船による違法操業が増えたため、多くの魚種の資源量が減少したこともある。

世界の漁業生産量は倍増している

1961年に69.9万人だった漁業就業者数も、一貫して減少傾向をたどり、2017年には15.3万人となった。平均年齢は約57歳と高齢化しており、深刻化する後継者不足が漁村の疲弊衰退につながっている。

一方、日本とは対照的に世界の漁業生産量は過去30年で倍増している。養殖業の生産量が中国を中心に急激に伸びているためで、2016年の世界漁業生産量約2億トンのうち、養殖業は54%を占める(日本の養殖業は全体の24%)。

世界では魚の消費量も増え続けている。世界の1人当たりの水産物消費量は過去半世紀で2倍以上に増え、ペースは衰えていない。新興国や途上国での消費拡大が主因で、先進国における健康志向の高まりも後押ししている。この中で日本の1人当たり消費量は依然、高水準とはいえ、1988年のピークから4割近く減少と例外的な動きを示す。近年は漁獲量が減ったサンマやスルメイカなどの価格が高騰し、魚離れに拍車をかけた。

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