ロシアに初出店した日本のラーメン店の正体 名古屋に本店を構える「フジヤマ55」とは?
海外への出店は現地オーナーと共同出資で現地法人を設立するのが一般的だが、澤さんの場合は異なる。自ら出資はせず、新メニュー開発も含めた技術指導と現場でのオペレーション指導が澤さんの役割。つまり、のれんとレシピを提供するのだ。香港の店は大須でチャイニーズレストランを経営していた仲間が、オランダの店は行きつけのバーで知り合った友人が店を切り盛りしている。
今回のロシアへ出店した「FUJIYAMA55 St.petersburg」は以前にプロデュースしたラーメン店の社長の子息がたまたまロシア・サンクトペテルブルクで働いていたのが縁だった。
「日本のアニメやマンガの力は絶大で、ロシアでも大人気なんです。オーナーが知り合いのロシア人から『日本人なら寿司やラーメンをつくることができるだろう?』と言われて、日本でラーメン店を経営する父親にロシアでラーメン屋をやりたいと相談したのがきっかけでした」
ところが、サンクトペテルブルクには日本人が少ないためか、店の物件探しは難航した。契約を結ぶ直前に何かと理由をつけて断られること3回。すぐに見つかるだろうと、店よりも先にセントラルキッチンを作り、従業員を雇ったことも資金を圧迫した。結局、物件が決まるまで1年半もかかってしまった。
ジャパン・クオリティのつけ麺・ラーメンを世界へ
また、ラーメンやつけ麺の材料や調味料などはすべて現地で調達するのだが、スープのベースとなる豚骨や、ラーメンのタレに不可欠なみりんがロシアでは入手できなかった。
「足らない材料を何かで代用して、いかにオリジナルの味に近づけるのかを考えるのが好きなんですよ。何しろ、僕はラーメンおたくですから(笑)。みりんは白ワインにハチミツを加えて代用しました。豚骨の代わりに豚足と牛骨、丸鶏を使ってスープをとりました。オリジナルを超えた味に仕上がったかもしれません(笑)」
日本国内において「フジヤマ55」は、ラーメンよりもつけ麺の方が有名だが、ロシアではラーメン店そのものが少ないため、まずはラーメンに力を入れているという。
日本やアジアのように単品を注文して終わりではなく、ロシアでは「豆腐サラダ」(350ルーブル=約595円)や「刺身サラダ」(400ルーブル=約680円)などのサイドメニューとお酒を楽しんだ後にラーメンで締めるスタイル。その場合、客単価は日本円で2000~3000円。また、動物や魚介を一切使わず、野菜の乾物と昆布でスープをとり、味噌で味付けしたヴィーガン対応メニューも用意している。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら