ロシアに初出店した日本のラーメン店の正体 名古屋に本店を構える「フジヤマ55」とは?

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澤さんがこだわる“ジャパン・クオリティ”は、味だけではない。心のこもった接客で客をもてなす日本スタイルのサービスを徹底している。

目標は「ラーメンで世界をつなぐ」

「ロシア人は本当に真面目ですよ。月収は約10万円と、日本に比べて安いですが、日本食を作り、提供しているというプライドを持っています」と澤さんは言うが、それが最も難しく、海外へ進出した飲食店にとっては悩みのタネになっているのでは……。

澤さんのFacebookには「FUJIYAMA55 St.petersburg」のオープン初日にスタッフへ贈ったメッセージが掲載されていたので紹介しよう。

(前略)
ついに、つけ麺が好き、ラーメンが好きという、僕のピュアな思いが、ここ ロシアまでつながりました。ご縁があった皆様に本当に感謝しかありません。
フジヤマ55にはポリシーがあります。
「JAPANESE QUALITYのつけ麺・ラーメンを世界へ」です。
フジヤマ55では、日本と同じ 本物のつけ麺・ラーメンを食べることができます。また、日本と同じ本物のサービス、日本のかっこいいデザインを体験する事ができます。
日本の本物のつけ麺・ラーメンの文化を広めるのは、ここにいるみなさんです。
ぜひ、ロシアの人たちに喜んで頂けるつけ麺、ラーメン、日本食をサービスしてください。
親戚や友達に日本の本物のラーメン屋さんができたと宣伝してください。日本の本物のラーメン文化を広めてください。(後略)

澤さんはラーメンの話になると、本当にうれしそうに語る。スタッフたちが「フジヤマ55」での仕事にプライドを持つのは、澤さんのラーメンに対するひたむきな姿勢や情熱が伝わっているからだろう。

「サンクトペテルブルクはロシアでは第2の都市。台湾の店も台中ですし、オランダもライデンと第2の都市ばかり。それは、僕自身が名古屋で生まれ育ったことが大きく影響してますね。いきなり首都で勝負をかけるのではなく、第2の都市でしっかりと足場を固めて、満を持して首都に打って出るのが名古屋人っぽいでしょう(笑)? そして、ラーメンで世界をつなぎたいですね」

海外初出店のタイでは、首都のバンコクに1号店があるが、タイ人オーナーがタイ国内におけるFC事業を任されていて、現在はチェンマイやコンケーン、コラートなど10店舗を展開している。「ラーメンで世界をつなぐ」という澤さんの夢はそう遠い話ではないように思えた。

永谷 正樹 フードライター、フォトグラファー

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ながや まさき / Masaki Nagaya

名古屋を拠点に活動するフードライター兼フォトグラファー。

地元目線による名古屋の食文化を全国発信することをライフワークとして、グルメ情報誌や月刊誌、週刊誌などに記事と写真を提供。

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