くみ : 山手線には、防犯カメラ設置車両が導入されてる。もちろん、対策を取らないよりずっといいと思うけど、『Tchikan』の中で、絵で説明してフランスで大きな反響を呼んだように、私が遭っていた被害の中には、外から見てもわからないものも多かった。
混んでるから周りにぎっしり乗客がいて、目隠しになってるから。「1日の目標〇〇人」などとゲーム感覚になっていたり、「防犯カメラがついたからこそ、『ハードルが上がる』と燃えて、痴漢行為に邁進するタイプもいる」と、『男が痴漢になる理由』の斉藤章佳先生もコメントされている。
ただ、車内がすいていても行われる痴漢行為や、駅の通路で声をかけたりという行為もあるし、フランスの動画の加害者みたいに何度も同じ区間を往復したり、という例もあるから、こういう行為に対しては、効果はあるんじゃないかな。
アプリ経由で痴漢被害を通報
エマニュエル:フランスは日本ほど満員電車になるわけじゃないけど、通勤時は混雑しているからカメラでは判断しにくいし、巡回する警察官だってそんなにたくさん配置できるわけでもなく、痴漢防止ポスターがあるからといってすべての痴漢を抑止できるわけでもない。
そこで新しく導入された対策として、「RATPアプリ」(RATPはパリの地下鉄の会社名)がある。以前は痴漢に遭った場合は駅の職員に直接、もしくは構内にある端末を使って伝えるしかなかったんだけど、痴漢被害者がもっとすばやく通報できるために2016年以降、3117の番号に電話やSMS(31177)で通報できることになったんだ。
スマホでアプリをダウンロードしておけば、番号を覚えておかなくても、簡単にすぐに電話やメールで通報できる仕組みになっている。この番号は痴漢被害だけでなく、盗難被害や暴行被害、そして容態が悪くなったときに助けを求めるときなどにも利用できるよ。
くみ:メールやテキストで手軽に通報できるのはいいね! 確かに電車内、それに降車後であっても、通報するのにわざわざ電話をかけないといけないとなると、ちょっとハードル高いと思う。日本だと、110番が「メール110番」というサービスも導入しているみたい。