男女で「セクハラ感覚」がズレまくる根本背景 中川淳一郞×治部れんげが徹底的に語る

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中川:男は女性というだけで崇めているわけだから、モテないと嘆く女性ももっと男に傲慢に振る舞っていいんですよ。

治部:女性というだけで崇められているというのは、おそらくきれいな女性を想定しているのだと思う。もし、職場に小娘からおばちゃんから、果てはおばあちゃんまで、年齢に幅のある女性がたくさんいたとしたら、男性は女性に対して希少性を感じる?

中川:性的な話ではなくなるから、女性に希少性を感じない。ここが男のむちゃくちゃな論理で。そもそも、女体に対して変な妄想を抱いてしまっている男は多いんですよ。

ネットの人たちも、男性教師が女生徒にした場合は「なんたる鬼畜!」と怒る。でも、女性教師が男子生徒にすると「うらやましいなあ」になる。

治部:なるほど。「性欲の非対称性」を考えることが、セクハラ問題の本質なのではないかと。

中川:だからと言って、男は正当化するなという話ですよ。でも、女性には「性欲をいかに抑えるかが、セクハラを抑えることにつながる」のを理解してほしい。

企業は男女の問題を「仕組み」にしてしまうといい

治部:中川くんの話を聞くと、「夕刻のある時間を超えたら男女でミーティングしない」「男女でミーティングする時はドアを開けておく」など、リスク管理に敏感な組織の規則の理屈がよくわかります。企業は「性欲の非対称性」を理解したうえで、男女の問題を「個人の倫理観」としてではなく「仕組み」にしてしまうといいのかもしれないですね。

『炎上しない企業情報発信 ジェンダーはビジネスの新教養である』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

中川:本当に、夕刻以降は男女でミーティングしない「仕組み」にしたほうがいいと思う。女性は「男はバカだ」ときちんと認識したうえで、「自分はバカを手なずける賢い人間」として動いてほしいんです。だからセックスを連想させるようなおかしな企画が会議で出てきたら、「男のバカさが出ていますよ。この企画はやめましょう」と女性が言わないと。

治部:あえて過激な言い方をしているけど、要は「男のバカさ」を客観的事実として扱うんだね。

中川:女性の側も男性上司の下心が見えているような状態で、女の部分を利用すれば自分のキャリアに都合がいいと思ってしまってはダメ。もちろん昔のおっさん化した治部さんのように、ストックホルム症候群みたいなバカな男たちと連帯意識を持つのもダメ(※ストックホルム症候群=誘拐事件や監禁事件などの被害者が、犯人と長い時間を共にすることにより、犯人に過度の連帯感や好意的な感情を抱く現象)。

企業活動を成功させるには、セクハラはやめましょう、炎上するような表現もやめましょうという話。そのためにジェンダーについてきちんと考える。治部さんの本って、そういう本だものね。

(次回記事につづく)

横山 由希路 フリーランスライター・編集者

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よこやま ゆきじ / Yukiji Yokoyama

神奈川県生まれ。東京女子大学現代文化学部卒業。エンタメ系情報誌の編集を経て、フリーに。コラム、インタビュー原稿を中心に活動。ジャンルは、野球、介護、演劇、台湾など多岐にわたる。

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