ある企業の採用責任者の方は、導入に際して次のように言っていました。
「当社には毎年1万人くらいの学生の方が応募してくれます。本当なら全員を面接したいのですが、実際に面接できるのは社内のパワーを考えると2000人が限度なのです。そこで仕方なく、市販のテストで、1万人の応募者を2000人に絞ります。
その結果、多くの学生がそのテストに合格するために、テスト対策をすることになります。学業や課外活動に力を入れるのは意味のあることですが、就活のための市販のテスト対策に学生の時間を使わせることに、意味があるとは思えません。また、そのようなテストにまつわるウェブ上の情報やうわさを聞いた学生が右往左往してしまうことは、私たちの本意ではありません。
しかし、結果的に、自社がテストを利用することで、学生にテスト対策をしろというメッセージを送っているのと同じ状況になってしまっています。
同様に、面接で課外活動や自分のやりたいことを中心に話を聞くことによって、結果的に、課外活動や自分のやりたいことこそが就活において重要だというメッセージを送っていることになってしまっています。
企業の採用手法は、学生への重要なメッセージですので、採用活動の中で学業に触れることは、企業にとっての社会的責任だと考えています」
どの企業の採用担当にとっても、いい人材を効率的に採用することが自分たちに与えられた責務です。そのため、各企業の担当者はさまざまな工夫をするのですが、その手法が、同時に学生に対する企業からのメッセージになっているのです。
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