北朝鮮に必死な韓国「文大統領」に漂う哀愁 月光政策がうまくいっているとは言いがたい
先日、アルゼンチンのブエノスアイレスで行われたG20(20カ国・地域)首脳会議。当初予定されていた韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領とアメリカのドナルド・トランプ大統領の正式会談は急きょ、「立ち話」に格下げされた。文大統領の北朝鮮融和策について、アメリカ政府の熱が冷めてきていることを改めて印象づけた格好だ。
今回のG20会議に際し、トランプ大統領はロシアのウラジーミル・プーチン大統領との会談も直前になってキャンセル。ジャーナリスト殺害を指示したとされるサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子も含め、アメリカでは世界の暴君とべったりの関係を築くトランプ大統領に批判の目が向けられるようになっている。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と2回目の首脳会談を実施しても、トランプ大統領にとっては期待したようなイメージアップにはつながらない可能性が出てきているということだ。
出陣チャンスをうかがうボルトン氏
こうした見方を裏付けるかのように、南北の経済協力に前のめりとなり、北朝鮮制裁の緩和を画策するようになった文大統領に対し、トランプ大統領はこのところ、おかんむりとなっている。アメリカの週刊誌『ネーション』が最近伝えたところでは、トランプ大統領は文大統領の融和路線のせいでアメリカの「最大限の圧力」が台無しにされたと考えている。米CBSテレビの看板報道番組「60ミニッツ」のレスリー・ストール記者が今年秋に行ったインタビューでも、トランプ大統領は「制裁を緩めたことはない」と圧力路線を再度強調していた。
アメリカでは北朝鮮に急接近しながら、ほとんど何も成果を上げられていないトランプ大統領に対し批判が強まっている。しかも11月の中間選挙で民主党が下院過半数を奪還したため、トランプ外交への批判はさらに過熱しそうな情勢だ。
北朝鮮強硬派のジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)が今年に入って政府の要職に返り咲いたことで、政権内のパワーバランスも微妙に変化している。
国務省幹部や国連大使としてボルトン氏がこれまでに何をやってきたかを見れば、同氏が北朝鮮への譲歩を後押ししているとは、とても思えない。ボルトン氏は今のところ北朝鮮問題について発言を控えているが、トランプ大統領が進めるトップ外交に敬意を表し、大人しくしているだけだ。好機到来となれば、米韓合同軍事演習の中止などトランプ大統領が一方的に行った譲歩をひっくり返そうとしてくるに違いない。今はただ、“出陣”のチャンスをうかがっているだけともいえる。
今年2月、韓国政府は歓喜に包まれていた。「ファースト・ドーター」こと、トランプ大統領の娘のイヴァンカ・トランプ大統領補佐官が平昌冬季五輪の閉会式に出席し、トランプ大統領との関係に裏ルートで突破口が開かれたからだ。