北朝鮮に必死な韓国「文大統領」に漂う哀愁

月光政策がうまくいっているとは言いがたい

ただ、韓国政府はバチカンの国旗が平壌ではためくのを今か今かと期待して待っているわけではないだろう。

また予測不能なトランプ政権と折り合っていかねばならない韓国としては、あまり先を急ぐこともできない。なにしろ韓国は今、今日の友が明日の敵ともなりかねないトランプ劇場で役を演じているのだ(中国の習近平国家主席も同じ立場に置かれてはいるのだが)。

トランプ氏の関心を引けるのは金氏だけ

金委員長を「自殺行為に走るロケットマン」とけなしていたトランプ大統領が、いきなり金委員長を「ジェントルマン」と呼ぶようになったことを覚えておいでだろうか。

トランプ大統領の外交は――外交だけでなく、たいていの政策がそうだが――大部分が取引的な発想に基づいている。「それで俺にはどんな得があるのか?」という発想だ。つまり文大統領の政策がトランプ大統領の個人的な利害関係と一致する限りは、万事うまくいく。しかし、韓国とトランプ大統領の関心がずれ始めたとなれば、砂上の楼閣はいつ崩壊してもおかしくない。

11月の中間選挙で民主党が下院過半数を奪還し、アメリカ議会は再び「ねじれ状態」となった。ジェフ・セッションズ司法長官の更迭も国民から思わぬ批判を招く結果となり(編集注:トランプ大統領はロシア疑惑への捜査をやめさせないセッションズ司法長官にいら立っていた)、元顧問弁護士のマイケル・コーエン氏が司法取引に応じ有罪を認めるといった動きまで出ている。伝えられるところでは、G20会議会場のブエノスアイレスに飛んだトランプ大統領は、外交どころか、ロバート・モラー特別検察官が指揮するロシア疑惑の捜査のことで頭がいっぱいだったという。

文大統領には、今後もトランプ大統領と話す機会があるだろう。しかし、金委員長との2回目の首脳会談を、アメリカでの支持率回復というトランプ大統領にとっての個人的なメリットとうまく関連づけられない限りは、文大統領の言葉はトランプ大統領の右の耳から左の耳へと素通りしていくだけだ。

ちなみに、リチャード・ニクソン元大統領はかつて国交断絶状態にあった中国を訪問し、世界をあっと言わせたが、ウォーターゲート事件を生き延びる助けとはならなかった。

残念ながらトランプ大統領の関心を再び北朝鮮へと引き戻せるかどうかは、もはや金委員長次第だ。ロケットマンの金委員長はトランプ大統領と同じくらい予測不能な男である。ロシア疑惑の捜査からトランプ大統領の意識を引きはがそうと、ミサイル発射実験を再び繰り出してきたとしても、何ら不思議はない。

筆者のデニス・ハルピン氏は、米下院外交委員会の元上級顧問で現コンサルタント。朝鮮半島情勢の専門家。
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