ふとんの「西川」3社、約80年ぶりに統合のワケ 創業450年、寝具の老舗が挑む大経営改革

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八一行氏は今後の商品戦略について「決して高級寝具だけではなく、たとえばニトリの商品で納得しない場合に次の選択肢として浮かぶようなものが出来ればよい」と語る。統合後の経営資源を生かして、幅広い層に訴求していく方針だ。また、睡眠時のデータ収集を基にした予防医療との連携なども視野に入れる。

開拓余地のある海外は、「コンパクトで高機能」という日本ブランドのイメージを武器に、アジアや北米で攻勢をかける。そのうえで3社合計の売上高を、現状の700億円程度から中期的に1000億円に伸ばす目標を掲げる。

15代当主が担う重責

もっとも、ルーツが同じとはいえ、80年弱にわたり別の会社として歩んできた3社の社員が足並みをそろえるのは容易ではない。

東京西川のヒット商品「AiR」マットレス。体にかかる圧力を分散させる特殊構造で、質の高い睡眠環境を整えることがウリだ(撮影:尾形文繁)

八一行氏は「みんなそれぞれにプライドはあるが、お互いが(競争で売り上げを)削り合っている状況のままでよいとは思わない。自ら動いて新しい時代を作っていく」と強調する。

西川家の娘婿である八一行氏は15代当主だが、実は歴代の当主のおよそ半分は、養子もしくは長男ではない人が務めてきたという。

「ときどきそういう人が来て、DNAに突然変異を起こす役割なのだと思う。今は大きな変革を起こすタイミングで、それが自分のある種の役目だ」(八一行氏)。

創業500年に向かう老舗の“3兄弟”の合併は、どんな変革を生むのか。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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