ふとんの「西川」3社、約80年ぶりに統合のワケ 創業450年、寝具の老舗が挑む大経営改革

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各地域の寝具専門店への卸売りが多かった時代は、3社間で「あの西川は、この地域に強い」と物理的なエリアでの販路の差別化ができていた。

それがイトーヨーカドーやイオン、ニトリなど大手小売店が続々と低価格のPB(プライベートブランド)の寝具を発売し、問屋や地場の寝具店は徐々に減少した。

本部で仕入れを集中的に行う大手量販店への卸売りやネット通販での販売が比重を増す中、「地域的なすみ分けがなくなっていき、(西川同士が)実質的には完全なライバルになっていた」(八一行氏)。

寝具に対する消費者の意識も様変わりした。婚礼寝具や冠婚葬祭の返礼品などとしての需要は低迷し、似たような商品であれば日常使いとして低価格なものを選ぶ傾向が強まった。

一方でスポーツ選手や中高年層の間では、睡眠環境を整える高機能寝具への関心も高く、よりブランド独自の個性が求められる時代となった。

三者三様だった西川ブランド

ただ、複数の西川が存在した影響で、「西川ブランド」はイメージのばらつきが目立った。

たとえば東京西川は百貨店向けの高級布団や、トップアスリートを広告に起用したマットレス「AiR(エアー)」で知られるのに対し、大阪西川は量販店向けのカジュアルな商品が充実しているなど、「各社で商品や販売手法がかなり違うので、消費者にとって何が西川ブランドらしさなのかわかりづらい」(寝具専門店の経営者)。

今回の合併により価格競争力やデザイン力など各自の強みを集中させることで、西川ブランドの統一した発信力を強めるべきと判断したわけだ。

東京西川は「非上場のため、資本関係や経営統合のスキームについて詳細はコメントしない」としているが、東洋経済の調べでは、下記のように3社の資本関係は入り組んでいる。また12月中旬の全国紙に掲載した合併公告によれば、東京西川を存続会社として、大阪西川と京都西川を吸収合併する計画のようだ。

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