大卒22歳で「人生決まらない」時代に生きる術 一生安泰な企業はもはやないし逆転もできる

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だからこそ、働き続けられる人材であるために大切なことがある。それは、たとえ希望どおりの就職ができたとしても、いつピンチが訪れても、「いま、どのような働き方をすべきか」と自問を続けながら仕事に取り組むこと。

もし、希望に沿わない就職であったとしても、それが終わりではないということだ。なぜなら次のチャンスに備え、チャンスをつかめる人材となるために、「どのような働き方をしていけば自分が納得できるキャリアを形成していけるのか」と考えることのできる時代になったからだ。

企業の枠を超え、生涯働き続ける力

言うまでもなく、今回ここで取り上げたのは22歳前後の若い世代へ向けられたパートである。だが、将来の転職を踏まえた考え方である以上、これはすべての世代に向けてのメッセージであると解釈することもできそうだ。

それは、「働き続けられる力」についての考え方がまとめられた第2章、転職に際して覚えておきたいことが書かれた第3章、海外に出る際の心構えについて解説される第4章、そして人生終盤に「生涯現役」を目指すために知っておきたいことが記された第5章についても言える。

仕事に対する人々の思いは、昔も今も、働き方が変わってどんなに多様化しても、変わらないのではないでしょうか。変化の激しい時代には、変化にばかり目を奪われがちです。けれど、よく目を凝らせば、変わらないことが見えてくるはずです。何が変わらないのかを自分の目で見極めて変わらないことを大切にすることが、「企業の枠を超えて、生涯働き続ける」力となるのだと思います。(「あとがきに代えて」より)

まだ会社勤めをしていた頃、特に20代後半から30代初めあたりまでの期間には、私も仕事や人生について思い悩んだ。なかなか人に相談できることではなく、ましてやインターネットもなかった時代だ。乗り越えるにはずいぶん遠回りをしたような気もするが、あのとき、本書があったとしたらかなり勇気づけられていただろう。

読み終えた時、純粋にそう感じた。だからこそ今後も、悩んでいる若いビジネスパーソンに出会ったら(いや、若手だけに限らないかもしれない)、ぜひとも本書を推薦したいと考えている。もちろん、いま、この文章を読んでくださっている方にも、自信を持ってお勧めしたい。

奇をてらっているわけではなく、いたって正統的な内容であるからこそ、いろいろなことが腑に落ちるのだ。

印南 敦史 作家、書評家

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いんなみ あつし / Atsushi Innami

1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。「ライフハッカー[日本版]」「ニューズウィーク日本版」「WEBRONZA」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」など紙媒体にも寄稿。『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)など著作多数。

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