大卒22歳で「人生決まらない」時代に生きる術 一生安泰な企業はもはやないし逆転もできる

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そして読んでいると、「そうだよなぁ」と何度も納得することになるだろう。たとえば若い人たちに向け、「働くことの意味」を解説している第1章「22歳で人生は決まらない」の内容は、社会に出ることに不安を感じている人の気持ちを和らげ、そして前向きにしてくれるはずだ。

いい例が、著者がメイテックの社長だった頃、新入社員に伝えていたというメッセージだ。毎年同じ話をしていたというが、それは、そこで述べられている内容が普遍的なものであるからだろう。

「皆さんが終身雇用を実現するためには、会社が50年後も存在していることが前提となります。今の時代に、誰がそれを保証できるでしょうか? 50年後には、メイテックに限らず、大半の企業はなくなっているか、存続していても事業内容は大きく変わっていると思われます。だとすれば、新卒で就職した企業に自分の人生を委ねること自体が大きなリスクです。そのことは、すでに皆さんも知っているはずです。つまり、これからは、人生は自分の責任で切り拓いていかなくてはなりません。それは厳しい人生とも言えますが、見方を変えれば、皆さんのお父さんやお母さんが若かった時代のように、新卒で22歳で入社した会社がどこだったかということだけでその後の人生が決まってしまっていた頃よりは、遥かにいい時代だとも言えます。会社に入ってからの働き方や生き方次第で、自分の人生をよりよくしていくことができると考えれば、今の時代の方が、多くのチャンスに恵まれています」――。(21ページより)

大きく変わった「常識」

確かに、かつての日本企業においては終身雇用と年功序列の人事給与制度が一般的だった。「日本型システム」と呼ばれたそれは、戦後の高度経済成長を下支えした雇用制度だった。経済成長と人口増が当然のこととされていた時代に終身雇用を疑う人は少なく、多くの人が、大企業にさえ入れれば人生は安泰だと信じていたのだ。

だがその裏側には、高校や大学を卒業して最初に入った会社によって、人生の大半が決まってしまうという厳しい現実もあった。端的に言えば、誰もが知っているような大企業に就職できれば、その先には豊かな人生が期待できたが、そうでない人たちは、経済的には地道な人生を覚悟しなければならなかったということだ。

かつて、大学を卒業して一流企業に就職した人と、高卒で中小企業に就職した人とでは、生涯給与で2倍もの開きがあると言われていた。現在の新卒社員の親の世代が社会に出た1980年代までは、ある意味においてそれは常識だったのだ。

しかし、そこから30余年の歳月を経て、時代は大きく変わった。いまや、企業の平均寿命は30年とも25年とも言われるが、その一方、高齢化によって定年はどんどん伸びている。以前は55歳が一般的だった定年が1990年代には60歳になり、2013年には雇用延長が法制化され、定年が65歳以上になる日もそう遠くないと考えられている。それどころか、65歳を高齢者とする定義すら見なおされようとしている。

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