100歳間近の女性が家族を丸ごと面倒見る気力 「娘婿に食べさせる」ための食事作りが中心
「普通の元気長寿者」の日常生活
話を聞かせてもらった長寿者中、100歳間近(取材時、以下同)という高年齢もさることながら、その生きる「気力」に圧倒され「すごい人だ」という思いを最も強く持ったのが、Aさんの暮らしぶりだった。
まず、簡単にAさんのプロフィールを紹介し、その「気力」を生み出し、維持する原動力は何かについて考えていこう。
健康面では、耳が不自由で、筆談での日常会話が必要。また、立ち上がり時の困難、歩行時の不自由があるものの、重い病気の既往歴はない。
まず私は、Aさんの暮らしぶりの何に驚いたのか。 100歳間近という年齢にもかかわらず、同居する娘婿の食事を欠かさず作り続け、娘婿が食費、光熱費などの生活費をいっさい負担しないなかで、丸ごと面倒をみていること。 次に、食堂を開いている孫のために、ラッキョウの甘酢漬けを毎年40キロも漬けていること。
さらに、Aさんの楽しみは編み物なのだが、今でも編み物教室に通い続け、自分用だけでなく、離れて住む息子や孫、曾孫用にも編み、地域の「公民館祭り」に毎年2、3点を出品し続けていること。
そしてなんといっても、そうした家事を自分の決めたスケジュールどおりに日課としてこなしていく徹底ぶり。 そうした日常習慣化したAさんの暮らしぶりに、私はAさんの生きる「気力」を読み取り、「スゴーイ!」と感じたのだ。
それをAさんの語りから具体的に見ていこう。
まず、Aさんの一日は、「娘婿に食べさせる」ための食事作りを中心に組まれた日課を、スケジュール通りにこなす形で過ぎていく。
この語りからは、家事を日課としてスケジュール化し、それを徹底して守ることを自分の生活課題の1つとし、「年中、時間通りに動く」形でそれを達成できていることが、「私みたいに時計を見て一日を過ごしている者は少ない」と言うAさんの自負とつながり、暮らしを「けっこう忙しい」ものにする励みともなっている事実が読み取れる。
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