浮かぶゼネコン、沈むゼネコン 建設バブル到来!

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強靱化・五輪・リニア 突然バブルがきた

「今まさに神風が吹いている」(準大手ゼネコン幹部)

これまでもゼネコン業界は東日本大震災からの復旧工事で受注が増えていた。そのうえに今春以降、12年度補正予算で計上された2兆円を超える公共事業費の執行と、景気回復による民間需要の拡大が加わった。

公共と民間の両輪が回るのはバブル期以来、という指摘もある。さらに6日に会期末を迎える国会で、10年でインフラ投資に100兆~200兆円を使うと喧伝された国土強靱化基本法が成立する見込みだ。そして東京五輪とリニア計画。「1年前にはこんな状況は想像できなかった」(スーパーゼネコン幹部)。バブルは突然にやってきたのだ。

一方で需要の急激な拡大は、業界の抱える構造問題を浮き彫りにした。深刻な人手不足だ。

人手不足はゼネコンの技術者から下請けが抱える技能労働者まで、ありとあらゆる職種に広がる。鉄筋工事を手掛ける小黒組(東京都江東区)では、受注量に対し、技能労働者が50~60人足りない。同社の内山聖会長は、「鉄筋工だけでなく、すべての職種で足りない。終わらない工事はないというが、今後はどうなるかわからない」と訴える。

これまで業界は20年にわたって縮み続けてきた。建設投資はピークから半減、建設業の就業者は15年間で約180万人減った。高齢化も深刻で、就業者の3分の1が55歳以上。低賃金化が進み、若者の入職者も減っている。「05~10年の状況が続けば、25年には174万人が不足する」(建設経済研究所の角南国隆研究理事)という指摘もある。人手不足の解消は一朝一夕にはできない。

確かにゼネコン業界は建設投資の拡大で一息ついている。銭高組や浅沼組など苦境が伝えられた関西系ゼネコンは、今期黒字化を見込んでいる。これまでリストラに追われていた地方の名門ゼネコンも、公共投資増が追い風になっている。

一方、被災地では土木工事業者が人手不足をきっかけに法的整理に追いこまれる例も出てきた。ゼネコンにとって今は、人手不足に伴う労務費増や資材高が先行する局面でもある。その中で着実な受注増につなげられるか、企業体力や地域によって格差が拡大しつつある。

降って湧いたバブル、そして浮き彫りにされた構造問題。業界の今後についても楽観論・悲観論が交錯する。その中で浮かぶゼネコンはどこか。岐路に立つ業界の今後を占う。

(撮影:今 祥雄)

(週刊東洋経済12月02日発売号)

堀川 美行 東洋経済 記者

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ほりかわ よしゆき / Yoshiyuki Horikawa

『週刊東洋経済』副編集長

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