投資信託の「基準価額」とはいったい何なのか 12月に投資をしようと思っている人へ

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一方、日経平均株価が2万円台まで到達した2017年に設定された「しんきん ノーロード日経225」の基準価額は、現在1万0084円(2018年12月5日時点)と1万円を少し超えた程度です。このように同じ指数への連動を目指す投資信託であっても、設定された年の相場環境によって基準価額は異なることがあります。

リーマンショック後すぐに日経平均株価に連動するファンドを購入した人は、今現在かなりの資産を作ることができたのではないでしょうか。しかし、相場が軟調、もしくは暴落しているときに買える人はまれです。今のように相対的に株高のときはどうすべきでしょうか。いつかくる暴落を待つわけにはいかないでしょう。あえて購入しないという考えもあります。もし今購入したい人ができる最善策は、「ドルコスト平均法」による毎月決まった額を購入していく方法ではないでしょうか。

すでに購入している人はどうするか?

見るべき2つ目の点は、基準価額とベンチマークとしている指標との差です。日経平均株価への連動を目指すインデックス型の投資信託であれば、ベンチマークとの乖離度を確認することで、指数に対して連動しているかどうかが確認できます。一方、アクティブ型の投資信託であれば、ベンチマークとしている指標を上回る成果を上げているかが重要になってきます。これらはすべて、運用報告書で確認することができます。

「これくらいの評価指標はチェックしているよ」、という人にはもう1点、これが3つ目です。ほかの同カテゴリの投資信託と比べて、直近の3年や10年の累計パフォーマンスではなく、単年で基準価額の年間騰落率(年間で基準価額がどれだけ変化したかを表すもの)を見るのも1つの参考となります。

先進国株式に投資するアクティブ型なら、相場が堅調だった2013~2014年だけでなく、中国経済の減速やイギリスのEU脱退などで相場が低調だった2016年の年間騰落率(または期中騰落率)を単年で見るのも面白いかもしれません。相場が低調なときに、どれだけ基準価額の下落を抑えることができたかといった部分に、投資信託の底力が現れます。これも運用報告書をみれば確認できます。

ここまでをまとめると、投資信託の基準価額は「割安・割高」の判断で用いるのではなく、過去からの推移やベンチマークとの差に注目することが得策と言えそうです。

最後に、基準価額は現時点での値ではなく、変化に注目することが大切です。投資信託の購入を検討している人なら過去の推移に目を向け、すでに保有している人は購入時点と比べてその後どう変化したのかに注目してみましょう。

吉田 祐基 ライター兼編集者

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よしだ ゆうき / Yuki Yoshida

各種金融系情報誌の編集・執筆業務を行う株式会社ペロンパワークス所属。大手不動産情報サイト編集記者を経て入社。株・投資信託の編集・執筆を担当。ファイナンシャルプランナーの資格も。

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