新型入試実施&学費補助がある私立中112 慶應湘南藤沢やお茶大附属も新型入試開始

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立教池袋は国語・算数と自己アピール面接による入試を始めました。奈良の超進学校・西大和学園は「21世紀型特色入試」を始めました。大妻中野は「新思考力入試」を始めました。2019年からは、慶應義塾湘南藤沢が「英語入試」を新設することが決まっています。さらに、国立お茶の水女子大学附属中学校は2021年から4教科型の入試をやめ、「検査Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」の3種類からなる「入学検定」を行うことを発表しています。

昨今の中学受験勉強は、塾業界が精製に精製を重ねてきた問題集をどれだけ大量にもれなく仕上げたかが合否を分けるようになってきています。子どもだけにまかせておくと限界があるので、親も加わり、あの手この手で少しでも多くの課題をこなせるように仕向けるのが一般的です。

結局、大量の課題をこなす処理能力と忍耐力と、与えられたものに対して疑いをもたない従順さの3要素をもつ受験生が“偏差値長者”となるしくみです。

中学入試改革が大学入試改革を牽引する!?

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しかし入試が多様化すれば、中学受験生を評価する軸も多様化します。もちろんできる範囲で4教科をバランス良く学ぶ努力をすることは大事ですが、必ずしも従来の4教科型の偏差値をめぐる競争ばかりにエネルギーを注がなくてもよくなります。

期待を込めて言えば、今後、新しいタイプの中学受験塾が出現するかもしれません。従来の中学受験の基本問題のレベルの勉強は一通りやったうえで、そこからさらに問題を解く速さや正確さを向上させることに時間を費やすのではなく、自分の興味・関心に従った探究学習をどんどん進めていくような塾です。そのような学びの経験は、入試の結果がどうであれ、決して無駄になることはないでしょう。

大学入試改革には、大学入試のルールを変えることで、高校入試や中学入試のルールを変え、最終的にはこの国の学びの形を変えていこうという思惑があります。しかし2020年以降の大学入試改革を待たずして、中学入試は大きな変化を始めています。むしろ新しい中学入試が、この国の学びを変える牽引役になるかもしれません。

おおたとしまさ 教育ジャーナリスト

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Toshimasa Ota

「子どもが“パパ〜!”っていつでも抱きついてくれる期間なんてほんの数年。今、子どもと一緒にいられなかったら一生後悔する」と株式会社リクルートを脱サラ。育児・教育をテーマに執筆・講演活動を行う。著書は『名門校とは何か?』『ルポ 塾歴社会』など80冊以上。著書一覧はこちら

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