トランプの貿易戦争で「マッチポンプ」は続く

2020年まで中国への攻撃はやめない

12月1日の会談ではとりあえず、休戦となったが(写真:REUTERS/Kevin Lamarque)

今に連なる対中関税の入口がこの動きであり、「休戦」から「制裁」まで一気に話が飛んだ印象であった。もちろん、今回は首脳会談であり、持つ意味はより重いが、こと本件に限らずトランプ政権の朝令暮改は日常茶飯事であることには留意しておく必要がある。

今回、最も気にすべきは、アメリカが着地点を示していないことである。中国が構造改革を進めて90日以内に協議がうまく進んだとしても、「貿易戦争をやめる」とは一言も言っていない。

90日後の着地点として考えられるシナリオは多岐にわたるが、たとえば、①2000億ドルについての関税引き上げを取りやめる(10%→10%)、②2000億ドルについての追加関税を撤廃する(10%→ゼロ%)、③(①を仮定した場合)すでに25%が課されている500億ドル分についても10%へ引き下げる、④(②を仮定した場合)すでに25%が課されている500億ドル分についても追加関税を撤廃する、などが考えられる。

トランプに対中制裁を撤廃する気はない

もちろん、今回の協議対象はあくまで2000億ドルであり、①でも②でも「500億ドルにかかる25%は据え置き」という可能性もある。だが、中国の王受文商務次官のコメントとして、現在25%の関税を課す500億ドル分の制裁措置について「取り消す方向で協議する」といったものが報じられている。

少なくとも中国側は500億ドルにかかる25%をゼロ%、少なくとも10%にしたいと考えている模様である。裏を返せば、アメリカ側は「500億ドル」と「2000億ドル」を切り分けており、「25%、500億ドル」は別の話としている状況があるとも読める。

いずれにせよアメリカ側が着地点を明示していない以上、すべては推測の域を出るものではない。90日後、何が起きるのかはトランプ大統領とその周辺にしかわかるまい。トランプ政権のアイデンティティであり、その象徴ともいえる対中制裁関税が、2020年の再選を前に完全撤廃されることはない、というのが筆者の基本認識である。せいぜいベストシナリオは「①+500億ドルの25%も10%へ」であり、セカンドベストシナリオは「①+500億ドルの25%は据え置き」といった程度ではないか。

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