北朝鮮で「国際商品展覧会」の驚くべき中身 中国企業が猛烈に出展している理由

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さらに、遼寧省の瓦房店軸承集団有限責任公司(ZWZ)という会社は、制裁決議2397号で北朝鮮への輸出・移転が禁止されているにもかかわらず、各種ローラーベアリング製品を展覧会に持ち込んだようだ。

NK Proが入手した画像には、13種類もの金属ベアリング製品が展示されている様子が写っている。中国から北朝鮮に対して、このような製品の持ち込みが許可されたこと自体が特筆に値する。

自動車メーカーの展示も

人道支援組織は、人道支援物資を北朝鮮に届けようにも国際制裁に阻まれて北朝鮮にまったく物資を持ち込めないか、持ち込めたとしても支援計画に深刻な遅れが出る事態に直面している。支援物資には金属が含まれていることがあるからだ。

中国の税関は制裁違反のおそれがあることを理由に、北朝鮮への人道支援物資の持ち込みを阻止していることがNK Proの分析から明らかになっている。しかし、ZWZは何の問題もなく、ベアリング製品を北朝鮮に持ち込むことができているようだ。

車両も北朝鮮への輸出が禁じられているが、瀋陽金杯車輌製造有限公司や山東五征集団などの自動車メーカーも9月の展覧会に出展している。瀋陽金杯車輌製造有限公司は、金杯(ジンベイ)のブランド名で華晨汽車(ブリリアンスオート)の商用車を製造する瀋陽華晨金杯汽車の子会社だ。

瀋陽金杯車輌製造有限公司のウェブサイトには、次のような会社説明が載っている。「当社は中国における主要トラックメーカーの1つで、軍用車の指定製造業者でもある」。同社ウェブサイトによれば、同社と北朝鮮の関係は1959年に始まり、「北朝鮮を支援する」トラックを開発したことがあるという。

山東五征集団はトラクターやオート三輪、トラックなどを製造。平壌の展覧会でも同様の車両を展示していたことが確認されているが、同社の車両が最近、北朝鮮国内で販売されたことがあるかどうかまではわからなかった。

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