北朝鮮で「国際商品展覧会」の驚くべき中身 中国企業が猛烈に出展している理由
直轄市では上海、および天津から計7社、さらに北京からも8社が参加。すべて合わせると、出展企業の所在地は中国の全省・直轄市の半分近くに広がっている。
中国国際貿易促進委員会(CCPIT)のブースは見当たらなかったが、NK Proが入手した動画や画像からは、展覧会の各所でCCPITのエンブレムが使われているのがわかる。たとえば、「エックスイージー」という中国企業のポスターにCCPITのマークが入っている。同社は、北朝鮮の展覧会における中国企業の指定仲介業者だと自称している。
危ない橋を渡っている企業が多い
中国企業が宣伝・販売している商品の多くは完全に合法だが、中には国連制裁に抵触するものもある。制裁を無視して大っぴらに北朝鮮とビジネスを行っているのではないか――そう疑われても仕方ないだろう。将来の制裁解除を見越して、一足先に北朝鮮の市場ニーズを探り、人脈を作ろうとしているのではないか、との見方も成り立つが、いずれにせよ、危ない橋を渡っている企業が多いことだけは確かだ。
たとえば、国連安全保障理事会決議2375号は北朝鮮からの繊維製品の輸入を禁じている。にもかかわらず、展覧会には主に繊維事業を営む中国企業が11社も出展した。
展覧会では、商談が少なくとも1つ以上まとまったようだ。中国共産党系の「グローバル・タイムズ(環球時報)」には、北朝鮮企業から4万ドル相当の布地を受注したとする江蘇浩泰毛紡織染有限公司の幹部の発言が引用されている。
確かに北朝鮮に布地を販売することは制裁の対象とはなっていない。だが、このような動きが出てきているということは、中国繊維産業のサプライチェーンに北朝鮮企業が組み込まれ、実質的に北朝鮮製の繊維製品が世界に輸出されている可能性がある。
中国企業がコスト削減を狙って北朝鮮の企業や工場を下請けに使うのは、よくある話だ。安価な北朝鮮労働者を北朝鮮国内だけでなく、国外で雇うこともある。