ムーギー:先生は李明博大統領に批判的でいらっしゃいますが、何がそんなに駄目だったのでしょう?
元議員:4大河川運河プロジェクトの無駄遣いに尽きる。任期中に22兆ウォン使った。先日、オバマ大統領が新エネルギー政策の大規模投資として、1兆ウォン相当をかけると発表したが、その20倍以上のカネをサプライサイドの回らない、単に建設業界が潤うだけの政策に浪費した。これは李明博大統領が建設業界出身だからではないか、と勘繰っている。
また、河川プロジェクトは環境への影響も大きく、洪水が起こったときにどれだけ土砂が流されて、などのシステマティックなシミュレーションが必要だが、質問してもまともな回答がいっさいない。李前大統領のいいところは、ビジネスマン出身なので、物事を迅速に進めることだが、悪い点は後先考えずにとにかくやってみて、その後、問題が発生したらそれに応じて手段を講じていく、というアプローチだ。
ムーギー:なるほど、あとお伺いしてみたかったのですが、議員をなさった中で、韓国の政治の問題点というと、どのようなものを感じられましたか? たとえば日本では議員の数が多すぎるとか、議員の質が低すぎるとか、そういったことが取り上げられていますが。
元議員:日本でもそのような話があるのですか? それは興味深い。なぜなら議論されている内容が韓国とまったく同じだからだ。韓国は日本のように衆議院・参議院があるわけではなく、議員も299人だがそれでも議員の数が多すぎるし、また人格や能力が優れているから議員になっているというより、単に有名だからなっている人も多い。
ムーギー:民主主義が若い国というのは、総じてこういう状況になってしまいますよね。優秀な政治家候補が、大統領を目指して予備選を通じて厳しく選抜されるアメリカの政治システムとかが、うらやましいと思うことがよくあります。一方で、アジアは中国のように一党独裁のほうが向いているのかも、とも。実際、シンガポールはほぼ独裁の強権政治でしたが、見事な国家建設に成功しましたし。
揺れる北朝鮮問題をどう見る?
ムーギー:先生は北朝鮮問題をどうお考えですか?
元議員:われわれはいつしか統一しなければならない。国の規模的にも両国が負担している莫大な軍事費用的にも、統一することでメリットは多い。
ムーギー:ただし、北側の指導者が既得権益を手放すとは思えません。
元議員:それはそのとおりだ。ただし下から改革の圧力は高まり続ける。北韓(韓国では北朝鮮を北韓と呼ぶ)の人々も中国との国境地帯で人が往来し、中国人が豊かになり、外国がどのように豊かに発展していっているのかを目にしている。こういった情報を遮断することはできない。
ムーギー:ただ、リビアやイラクと違って北朝鮮は核を持っているので、アメリカなどが武力を通じて政権の転覆とかはできないと思うのですが。また、戦争になればソウルや東京の人命の負担も膨大なものになりますし。
元議員:北韓は核を持っているが、戦争になればあっという間に国が破壊されるのは指導者もわかっていることだ。
ムーギー:南北統一を考えたとき、つねに中国とアメリカの出方が重要になりますが、中国としては統一した大きな韓国ができて、そこに米軍が駐留するより、当然、影響力を行使できる北朝鮮が現体制のままいてくれたほうが国益にかなうと判断して、北を支援していると思うのですが。
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