岩崎:ゆとり世代というのは、だいたい15年間くらい存在すると考えています。そこがぽっかり空いてしまうと、日本はどうなるんだ?と危惧する方もいらっしゃるのですが、戦後もそうでしたけれど、世代のブランクが生まれると、その下の世代が若いうちから経験を積めるので、かえって国力が増すことがあるのです。彼らが中堅になる頃には、もう一度、高度経済成長のときのような状態になるかもしれない。その意味でも、ゆとり世代は犠牲になっているとも言えますね。
太田:そうは言っても、ゆとり世代としては、生まれた年代は選べないわけじゃないですか。そこに生まれたら、いったいどうすればいいのですか? ただ果断(前回のコラムで言及)され、踏み台にされるのを待っているだけですか?
ゆとり世代にもスターは生まれている
岩崎:実は面白いことに、ゆとり世代のど真ん中には、ほかの世代よりも優秀な人材が輩出される――という現象も起きているのです。たとえば、東北楽天ゴールデンイーグルスの田中将大君や、フィギュアスケートの浅田真央さんをはじめてとして、超優秀な存在も数多くいる。彼らは、技術ももちろんですが、精神力や人間性がずば抜けて優れている。それは、実はほかの世代には見られない現象なのです。
太田:ゆとり教育の中でも、危機感を持って生き抜いたんですね。
岩崎:そうなんですよ! 「ゆとり教育」という逆境が、かえって彼らを育てる結果となった。これもひとつの「死ぬことと見つけたり」なのではないでしょうか。
太田:なるほど! どんな悪い環境でも、活かし方によっては、逆に大きく羽ばたくチャンスにもなるということですね。だけど、そうなると気になるのは、今の日本の社会風土です。今の日本は、飛び級制度などもないですから、超優秀な人材を作らせないし、伸ばそうとしない。その逆に、出るくいは打つで、なるべく平均的な人材を作ろうとする。実は私、すごく残念なことがあるのです。新人研修で時々、飛び抜けて優秀な方がいるのですが、3年目や4年目に再会すると、驚くほど均質化社会に解け込んでこんでしまっていて、スポイルされている。本当に悲しいです。悪い意味で環境に順応してしまうからなんですね。
岩崎:だからこそ今、ヘヤカツが必要だと思うのです。本にも書きましたが、「本当に優秀な人たちは、まず何よりも環境づくりがうまい」。だから、優秀な人が周囲の環境に流されないためには、まずは自分で自分の環境を整えていこう、特に最も身近な「部屋」から整えていこうというのが、僕たちの提案なのです。
太田:お話を聞いていて、いろいろなことがつながりました。ありがとうございます。私もぜひ、ヘヤカツを実践してみたいです。
(構成:稲田豊史/収録場所:天狼院書店)
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