米朝高官協議ブッチした北朝鮮の「腹づもり」 アメリカを脅しにかかっているのか
アメリカのマイク・ポンペオ国務長官と北朝鮮の金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長は、2度目の米朝首脳会談を来年の早い段階で実現するため、11月8日にニューヨークで会談し、すり合わせを行う予定になっていた。
土壇場で会談をキャンセルしたのは、どうやら北朝鮮だったようだ。韓国メディアによると、北朝鮮の使節団はニューヨーク行きの飛行機に乗るはずだった北京空港にすら姿を見せなかったもよう。つまり、今回のキャンセルは最初から仕組まれていた可能性が高い。
会談延期は驚くに当たらない
このような事態を目にすると、私たちは条件反射的に米朝関係の行方や非核化交渉の運命に影響すると考えがちだ。しかし、高官協議のキャンセルは本当に驚くべきことだったのか。また、これによって北朝鮮との交渉に、今後どのような影響が出てくるといえるのだろうか。
結論から言えば、北朝鮮政府による会談延期は驚くには当たらない。こうやって相手を驚かせるのは、北朝鮮がよく使う交渉テクニックだ。それに非核化、制裁解除、朝鮮戦争の終戦宣言をめぐる米朝の交渉は今のところ、まったくといっていいほど前進していない。
そもそも今回、予定どおりに米朝高官協議が行われていたとして、北朝鮮が満足するような譲歩をアメリカが差し出すなどという展開が本当にありえたと言えるのだろうか。
現段階でアメリカと協議しても目立った成果は上げられない――。北朝鮮はおそらく、こうソロバンをはじいたに違いない。というのもアメリカは、北朝鮮が現在進めているような見かけ倒しの核施設解体ではなく、完全な非核化に本気で取り組まないかぎり、制裁を緩和するつもりもなければ、終戦宣言の交渉を始めるつもりもない、という姿勢を崩していないからだ。