ソフマップ「脱オタク依存」へ打ち出す新機軸 「グラドルの聖地」を返上、中古市場に再挑戦

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ソフマップはパソコンソフトのレンタル事業が祖業。その後、パソコン販売に乗り出し、パソコンの普及とともに急成長した。だが、1990年代後半に入り経営が悪化。2006年に家電量販店のビックカメラの傘下に入り、2010年に完全子会社となった。

傘下入り当初はビックカメラとの共同仕入れによる採算改善や、ビックカメラの店舗内でソフマップの買い取りセンターを設置するなどしてシナジーを追及した。しかし、ビックカメラの主な客層にとって、パソコン専門店でサブカルも取り扱うソフマップはなかなか身近に感じられない。

一連の改革は「あくまで小手先だった」(ビックカメラIR担当)。パソコンやゲームソフトの販売低迷により、2017年8月期までは3期連続で最終赤字に沈んだ。

3期連続赤字で始まった改革

そうした中、ようやく赤字体質から脱却するための抜本的な改革が始まった。主導するのは、親会社・ビックカメラから転じて2017年2月に就任した渡辺武志社長だ。

ソフマップの渡辺武志社長。「ビックカメラでも異端児だった」と笑う(撮影:尾形文繁)

渡辺社長が1年目で実施したのは、経費の抑制だった。「店舗の仕事には、接客、自分からやる仕事、上司から命じられる仕事の3つしかない」(渡辺社長)。ソフマップでは、3つめの上司から命じられる仕事の比率が高かった。商品部などからほかのビックカメラの店舗と同じような業務が課せられる。ソフマップの規模からは、明らかに業務が水膨れしていた。

接客を中心に社員の業務を見直し、余った人材は親会社への転籍を進めた。さらに手をつけたのが、不採算売り場の圧縮だ。規模が大きすぎて採算がとれる見込みのない店舗をこの1年間で14店閉鎖。秋葉原では「アキバ本館」をビックカメラ店舗に変えるなど、8店を5店に縮小した。冒頭の改装も、店舗再編の一環で行われたものだ。

こうした止血策によって、2018年8月期は減収ながら黒字化を果たした。そして渡辺社長は次の成長戦略として、中古販売に目をつけた。

もともとソフマップは中古パソコン事業を展開している。しかし、その事業はずさんだった。「店頭で販売することもできないパソコンまで買い取っていた」(同社社員)。社内で中古事業は、採算がとれないと言われていた。

次ページなぜ中古事業を強化するのか
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事