2012年12月に自民党が衆議院選挙で政権奪取を果たした際の選挙公約を振り返ると、「デフレ・円高対策」として、「明確な『物価目標(2%)』を設定、その達成に向け、日銀法の改正も視野に、政府・日銀の連携強化の仕組みを作り、大胆な金融緩和を行う」と明記されている。
安倍政権発足後、2013年1月22日には、民主党政権と日本銀行の間で2012年10月30日に結ばれていた消費者物価の前年比上昇率1%の物価目標を、「2%」に引き上げたほか、黒田総裁の就任以降、異次元緩和による人為的な大規模金融緩和・低金利政策が続いている。
いまの日本はデフレなのか
為替レートは、短期的には内外金利差の影響を受けて金利が低いほど通貨安となり、長期的には購買力の影響を受けて物価が高いほど通貨安となる傾向がある。低金利も物価高も通貨安の要因であり、デフレ・円高対策を一括りにした項目の中では、現在の金融政策は為替政策と受け取られかねない。
用語上の定義として、デフレとは「物価が持続的に下落する現象」であるため、現在、日本がデフレかどうかという点については、議論の余地がある。デフレではないということになれば、現在の異次元緩和の継続は、為替政策であると強弁されかねないリスクを抱えている。
アメリカの貿易赤字は、そもそもの問題はアメリカ政府の巨額の財政赤字にある。だが、日本の自動車輸出は日本国内の自動車・部品メーカーに独占的に利益がもたらされている点でカナダやメキシコの自動車輸出とは事情が異なる。また、異次元緩和は、為替政策と見なされかねない状況にある。アメリカの政策金利引き上げは順調に行われており、内外金利差が拡大傾向にあることも円安に拍車をかける。
現在、日米間の貿易協定の交渉中のため、日本の自動車輸出への関税や台数削減の議論は先送りになっているが、なお、予断を許さないと見るべきだろう。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら