日米貿易摩擦が避けられないこれだけの理由 対日本のアメリカ貿易赤字額は約690億ドル

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テックインサイツによると、iPhone XS Max(256GBモデル)のアメリカ内での販売価格は1249ドル99セントであるが、その製造原価は453ドル。組み立てや検品にかかる費用はわずかに24.5ドルであり、その組み立てを担う鴻海精密工業(フォックス コン)の生産拠点は中国だが、本社は台湾にあるため、中国の最終的な受け取りはさらに少なくなる。

中国からアップルのスマホを輸入することで、アメリカ企業であるアップルや部品を供給している日本やドイツ、韓国の企業にも利益がある。中国やカナダ、メキシコからすれば、スマホ部品や自動車部品の輸入を通じて利益が国外に流出しているため、アメリカへの輸出額、そしてトランプ大統領の評価は過大と感じる部分があるだろう。貿易統計は貿易財の特徴を考慮することで理解が深まることが多い。

金融面でも日本は特殊な状況に

自動車については、完成車だけではなく、これまで以上に自動車部品が貿易摩擦の議論の的になる可能性が高い。内燃機関車から電気自動車へのシフトが進んだ場合、自動車の組み立てが容易になり、工賃の低下が見込まれるため、原価構造がスマホに近づくことになる。自動車部品はアメリカの輸入額の第6位であり、輸入額は650億ドルにのぼる(2017年)。

カナダやメキシコから日本車を輸入することは、間接的に、日本から自動車部品を輸入することにもつながっている。日本の自動車部品の輸出額シェアでは、アメリカ向け(24.6%)、中国向け(20.9%)で半数近くを占めるが、メキシコ向け(5.2%)やカナダ向け(4%)も無視できない規模である。

自動車や自動車部品という財だけではなく、金融面でも日本は特殊な状況にある。

貿易摩擦では為替レートが問題となることが多い。日本円は人民元などと並んでアメリカ財務省による為替監視リストの対象となっている。為替操作国と認定された場合、2国間協議により為替レートの切り上げが要求されるほか、関税による制裁が発動される可能性がある。

金融政策は国内の物価を安定させることを目的に行われるため、通常であれば、為替操作には該当しないが、日本の場合は、為替介入を行わなくても、為替操作国と見なされうる状況にある。

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