日米貿易摩擦が避けられないこれだけの理由 対日本のアメリカ貿易赤字額は約690億ドル

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2013年から2017年までの5年間の傾向を見ると、2014年までは石油などが輸入額の首位であったが、アメリカ内でシェールオイルの利用が進んだことから、2015年以降は乗用車に首位を明け渡し、輸入額も横ばいとなっている。1位の乗用車と3位の電話機については増加傾向が続いており、アメリカの輸入額上位3カ国の中国、メキシコ、日本の主要輸出品目で増加している。

2018年1月から9月までの累計でアメリカの乗用車輸入額のシェアを見ると、日本はNAFTA加盟国であるカナダやメキシコを上回り、トップシェアとなっている(乗用車輸入シェアは1位日本:23%、2位カナダ:22.3%、3位メキシコ:20%)。

10~12月の輸入額次第では逆転がありうるものの、2017年との比較では、カナダが1位(24.6%)から2位(22.3%)へとシェアを落とす中で、日本は2位(22.5%)から1位(23%)へとシェアを伸ばしている。ほぼ横ばいという見方もできようが、このタイミングでは日本からの輸入が目立つ。

日本からの自動車輸入は「目障りな存在」

トランプ大統領にとって、日本からの自動車の輸入は目障りな存在であろう。カナダやメキシコからの乗用車の輸入に際しては、フォードなどのアメリカ企業の利益に結び付く点があるが、日本からの乗用車の輸入については、日本企業が独占することになる。

加工・組立型の財では最終製品を製造・輸出した国での部品製造比率が少ない場合、部品の輸入を通じて資金が流出することになるため、実際の利益は輸出額に比べて大幅に減少することになる。

一例として、アップルのスマートフォンを採り上げよう。新製品が発売されるたびに、機能もさることながら販売価格や原価も話題になる。原価についてはアップルから公表されてはいないが、技術系メディアなどが製品を分解するなどして、部品コストの積み上げと組み立て費用等から原価を推計している。

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