子どもの教育費に無頓着な親が知らない基本 教育費はローンと奨学金どちらを選ぶべきか

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ただし、NISAの場合は投資ですから、早めに始めるのも肝心です。長く運用するほど、利回りが期待できます。すでに子どもが高校生で大学の費用を貯めたい、という場合には少し遅いかもしれません。

教育費は教育ローンと奨学金どっちを選ぶ?

教育の資金を借りて捻出するには、教育ローンと奨学金があります。

奨学金とは「向学心があるが経済的な理由により学校に通うのが難しい学生」のためにお金を融資する制度です。返済は、借りた学生が仕事に就いてから行うというのが特徴です。奨学金は種類にもよりますが、融資してもらえる額は月額3万〜12万円程度。金利は3%以下で、無利子のところもあります。

有名な奨学金としては、自治体、日本学生支援機構などの機関があります。その土地で就労しなくてはいけない、支給してくれた企業に勤めなくてはいけないといった条件を満たせば、「給付」として返済しなくてもよいものもあります。

一方で、審査が必要であったり、働いてからの返済が長期にわたるところがデメリットです。月5万円借りて4年で卒業したとすると、全部で240万円。これに利子が付きますから、1万〜2万円程度を10年以上返済し続けなくてはならないことになります。

国の教育ローンは、金利が1.76%と低く、親が借りるローンです。子ども1人につき上限が350万円で、保証人もしくは保証機関の保証(有料)が必要です。申込み時に返済額がわかりますし、在学期間は元金措置し、利息のみ支払うことも可能です。奨学金との併用も可能です。

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民間の教育ローンは、借入可能額はほかの2つよりも大きいですが、金利は1〜8%と幅があります。また、すぐに毎月の返済がはじまることがほとんどですので、生活費への影響を考えておいたほうがよいでしょう。どちらかというと民間ローンは、どうしても教育費が不足したときの最終手段と考えたほうがよいと思います。

全体としては、金利の面からも返済方法からも奨学金のほうが負担は少ないと思われます。それも満額を借りるのではなく、最後の1年だけ使うとか、必要な最低限の額を借りるなど、できるだけ使わない方向にするのが無難です。

子どもと話し合って決め、子どもにも「自分のお金で大学に行っている」という実感を持ってもらえるとよいのではないでしょうか。

米国のファイナンシャルプランナーに聞くと、大学まで親が面倒を見るのは少数派で、「大学は行きたければ自分で稼いで行く」という人も多いようです。文化の違いはありますが、返済に無理のない金額であれば、真剣に勉強しようという気になるのではないでしょうか。

横山 光昭 家計再生コンサルタント、マイエフピー代表

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よこやま みつあき / Mitsuaki Yokoyama

お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の問題の抜本的解決、確実な再生を目指し、個別の相談・指導に高い評価を受けている。これまでの相談件数は2万3000件を突破。各種メディアへの執筆・講演も多数。著書は、60万部突破の『はじめての人のための3000円投資生活』や『年収200万円からの貯金生活宣言』を代表作とし、著作は120冊、累計330万部となる。個人のお金の悩みを解決したいと奔走するファイナンシャルプランナー。

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