高級ダウン「カナダグース」、人気ゆえの悩み

日本総代理店の幹部に聞くブランドの今後

――カナダグースの決算資料を見て驚きました。過去4年間で売上高が3倍近くに増えていますね。

過去10年間で見たら、50倍ぐらいになっているそうです(笑)。最近で言うと、直営店を出し始めたのが大きい。2年前に初の旗艦直営店をトロントに出して、今年の夏時点では北米5都市とロンドン、東京の計7店。この直営店の販売規模が半端じゃなく、どの店も地元の消費者やツーリストで賑わっています。7店の過去半年の来店客数を合計したら58万人だったそうで、1店当たり毎日460人のお客さんが来た計算ですから、すごいですよね。

当社が運営している日本の旗艦直営店(東京・千駄ヶ谷)にも、多くのお客さんが来て下さる。先日は人気モデルの販売日に150人ぐらいの行列ができました。訪日客の来店も確実に増えていて、約3割が海外のお客さんです。特に韓国や中国の方が多く、せっかく来たんだからと複数点購入される方もいる。

カナダグース側から代理店の依頼

――サザビーリーグが国内独占販売契約を結んだのが3年前の2015年秋です。日本でカナダグースの人気が盛り上がってきた頃でしたが、もっと売れると確信して総代理店契約を取りにいったのですか。

大きな誤解があります。取りにいったんじゃなくて、カナダグース側から打診があったんです。自分たちはこれまでずっといいものを作ることだけに専念して、それ以外はあまり考えずに来た。でもこれからはブランド戦略もきちんと考えたいので、一緒にやらないかと。CEOのダニー・リースは頻繁に来日していて、「日本ではどこと組むのがいいか、いろいろと調べたんだ」と言っていました。

―ーそれで平井さんは何と?

僕自身、カナダグースのことを詳しく知っているわけじゃなかったので、とにかく話を聞いてこようとトロントに行ったんです。工場の中も隅々まで見せてくれました。ものすごい数の人たちが黙々と縫製作業をやっていて、その光景を見た時に、こいつはすげぇなと。1着作るのに60人が携わるそうで、協力工場を含めカナダ国内の縫製産業従事者の1割以上を雇用しているという話も聞かされました。

さらに、工場の人が言うわけですよ。「カナダグースの製品は極地の人たちも着ているから、不良品を出してしまったら、彼らの命にもかかわるんだ」と。そういう話を聞くうちに、僕もだんだんテンションが上がってきて(笑)。これはすごいブランドだ、ぜひ一緒にやりたいと。

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