実は働く妊婦に冷たいアメリカ企業のリアル 企業の配慮を促す法律もない
2012年以降、ある議員グループは毎期法案を提出し、障害者に対して「障害を持つアメリカ人法(ADA)」で行っていることを、妊娠中の女性にも適用できるようにしようとしている。つまり、労働によって健康状態が左右される人たちに配慮するということだ。しかし、議会では一度もそのための公聴会が開かれていない。
XPOの物流倉庫での出来事に対して、ベライゾンの広報担当者は「当社は、申し立てられたような行動を一切許容しない」と述べた。ニューヨーク・タイムズからの問い合わせを受けて、同社は内部調査を行うという。「こうした行動はどれも当社の価値観とは異なるものであり、契約事業者に求められるものとも異なる」。
モノを持ち上げるリスクが最も高いのは
XPOの広報担当者は、同社は従業員の安全を優先させていると言い、「不当な行為はまったく許容されない」と述べた。近年では、従業員の給与や福利厚生も改善したとも述べた。
大抵の女性は、妊娠中に働いても問題はない。
しかし、アメリカ産婦人科学会が今年発表した指針によると、仕事で頻繁にモノを持ち上げる女性は「流産のリスクがわずかに、あるいは少し高くなる」という。
モノを持ち上げることによるリスクが最も高くなるのは、すでに妊娠自体のリスクが高いと判断されている女性だ。だからそのような女性には、医師はもっと軽い労働を勧める。
サンフランシスコ総合病院の産婦人科部長、レベッカ・ジャクソンは言う。「雇用主が医学的なアドバイスを無視すれば、患者の健康が危険にさらされる。重労働をしている女性は、すでに妊娠への影響やケガのリスクが大きい。そうした職場で医学的なアドバイスが無視されるのは苦々しい」。