カジノが日本の国際競争力を高める根本理由

明暗を分ける中国人富裕層の取り込み

私が過去に担当したお客様には、たった10分間でカジノで1億円すってしまったという人もいます。なお、VIPルームのメンバーになるためには、事前審査が行われるため、普通の一般人が借金をしてVIPに通うようなことはありえません。

マカオの場合は、VIPルームのお客の8割は中国人富裕層です。中国バブルに乗り、1億円以上の資産を持つ人が1億人以上存在すると言われる中国市場では、現在数多くの中国人富裕層が誕生しています。

しかし、中国は国内の規制が厳しく、ギャンブルは禁止されています。お金はあるのに、遊ぶ場所がない。そんな理由から、中国人富裕層たちは娯楽を求めてマカオにやってきて大金を落としていくのです。

つまり、現在のマカオのカジノの収益は、中国人富裕層によるものが大半を占めているというわけです。日本にカジノができた場合も、マカオ同様、中国人富裕層たちが数多く訪れることが想定されます。まず、日本は距離的に中国と距離が近い。さらに、いまだ中国では日本ブランドへの信頼度が高くマカオや中国を歩いていると、日本製をうたう看板をよく目にします。

カジノ=治安悪化は大きな誤解

また、海外へ訪れたことがある人ならばわかると思いますが、日本の「おもてなし力」はずば抜けています。公共施設からコンビニに至るまで、きめ細かなサービスは、世界的に見ても立派な資産です。仮に日本のこのおもてなし力をもってしてカジノ運営ができれば、日ごろから特別扱いになれたVIPな海外観光客を十分に満足させ、リピーターを作ることができるはずです。

現在、日本では「カジノができると治安が悪化するのでは」との意見も根強いですが、私はそうは考えていません。「カジノ」と言われると、多くの人はブラックなイメージを抱きがちですが大きな誤解です。日本における通称「カジノ法案」が、正式には「IR推進法案」という名称であるように、その内実は総合型リゾートです。

たとえば、ラスベガスを見てもわかるように、多くのカジノのそばには巨大なショッピングセンターや高級ホテルが何軒も連なり、巨大プール、シアターなどが多数併設されています。セリーヌ・ディオンやマライア・キャリーなどの大物アーティストたちによるコンサートも頻繁に行われていますし、夜になればきれいな夜景が街中を彩っています。日本国内の施設に例えるなら、東京ディズニーリゾートさながらです。

そのため、多くのカジノ観光客は家族連れで訪れており、カジノに行かない人であっても、老若男女問わずに楽しめる場所になっています。

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