「防災食」のごはんがおいしくなったワケ 亀田製菓、アサヒGHDに続き永谷園も参戦

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尾西食品のアルファ米商品の主力は白飯だったが、市場の拡大に合わせて「エビピラフ」や「チキンライス」などの洋風メニューや「松茸ごはん」などの和風メニューのラインナップを拡充してきた。全部で12種類があり、価格は1食210~260グラムで300円台だ。

この10年ほどで、アルファ米の品質自体も向上させてきた。以前は製品によって原料米の産地がバラバラで、あまり品質のよくないコメも多く使われていたというが、現在は高品質のあきたこまちに切り替えた。製造工程でも、炊きムラが少なくなる炊飯釜を導入した。

また、味の種類が増えてきたことで、キッコーマンやヤマサ醤油から仕入れているしょうゆなどの調味料は長期保存に適したものを開発してもらい、仕入れるようになった。「原料のコストは上がっているが、販売数量が増えたことで削減された固定費の分で賄っている」(小寺社長)。

尾西食品のアルファ米の売上高は30億円強。災害が続いた今年の7月から9月にかけては、EC(ネット通販)を中心に販売数量は例年に比べ20%程度伸びたという。

販売のほとんどは自治体向け

ただ、一般の消費者向けは売上高の1割ほどにすぎない。メインの取引先は自治体で、売上高の約8割を占めている。全国の市区町村のおよそ半分と取引があるという。

商品を自治体向けにまとめて大量に販売できるうえ、「販路が限定されているため、値引きのための販促費や広告費がかからない」(小寺社長)。そのため、同社の営業利益率は20%以上。1ケタ台が一般的な食品メーカーでは異例の高さだ。

EC以外では東急ハンズなどのホームセンターで登山用のアウトドア用品として販売される場合が多く、ほかの食品との競争も起きづらい。

市場の広がりによって、アルファ米だけではなく、災害時以外にもなじみ深いフリーズドライ食品のメーカーも米飯類で防災食市場に参入し始めている。

中でも、2016年に参入した永谷園が存在感を高めている。主力のお茶漬けやふりかけがフリーズドライ食品ということもあり、もともとノウハウを持っていたからだ。

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