外資が三重県に自動車部品工場を作ったワケ スペインのプレス部品大手が日本で猛攻!
“黒船”がついに動き出した――。
自動車向けプレス部品の世界最大手、スペインのゲスタンプ・オートモシオンが10月25日、三重県松阪市に日本で初となる生産拠点を開設した。外資の自動車関連メーカーが、日本に工場を新設するのは近年では異例だ。ゲスタンプは欧米や中国など世界22カ国で108カ所の生産拠点を有する。1997年の設立で歴史は浅いが、2017年の売上高は1兆円を超えるなど成長著しく、満を持して日本に参入する。
プレス部品で軽量化への貢献狙う
「日本の顧客と関係を深めていきたい。最新鋭の技術を使った製品を出荷し、内燃機関だけでなく電気自動車(EV)の軽量化に貢献したい」。来日したゲスタンプのフランシスコ・ホセ・リベラス・メラ会長は、オープンニングセレモニーの挨拶で決意を述べた。
セレモニー会場となった新工場には、三重県知事やスペイン大使館ほか、ゲスタンプに出資する三井物産、さらにトヨタ自動車やホンダ、スズキなど日本の自動車メーカーなど総勢100人以上が駆け付け、工場内を見学したほか、懇親会も開かれた。
ゲスタンプが猛烈にアピールしているのが、欧州車中心に海外で人気の高い加工手法である「ホットスタンプ」(熱間プレス)だ。骨格部品の高強度・軽量化につながる新しい技術で、ゲスタンプが業界をリードしている。
ホットスタンプでは鋼板を900度前後の高温に加熱して軟らかい状態でプレス機に入れて成形し、その後急速に冷却する。「日本刀の焼き入れ」(ゲスタンプ日本法人、ゲスタンプ・ホットスタンピング・ジャパンの大室敦司副社長)のような効果で、鋼の強度を高める仕組みだ。強くて軽い部品を成形できるほか、難易度の高い形状の加工に適している。
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