外資が三重県に自動車部品工場を作ったワケ スペインのプレス部品大手が日本で猛攻!

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ホンダの「シビック」にはゲスタンプ製のプレス部品が採用されている(撮影:梅谷秀司)

日本車メーカーでゲスタンプと積極的に取引しているのがホンダだ。ホンダの「シビック」はゲスタンプと一部を共同開発。ゲスタンプがプレス部品をアメリカ、イギリス、欧州、アジアで製造している。ホットスタンプは金型内での冷却スピードを変えることで、位置によって異なる強度を持たせることもでき、側面からの衝突の衝撃を吸収する部分と、乗員を保護する部分の安全性を両立できるという。

トヨタ自動車も新たな設計手法「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」による新型車「プリウス」や「カムリ」などでホットスタンプを使い始めており、冷間中心だったトヨタ系のプレス会社もホットスタンプへの投資を進めている。フタバ産業は愛知県やカナダの工場でラインを新設。トヨタ車のフロントピラーやセンターピラーに採用される見込みだ。また太平洋工業も米国でホットスタンプの工場を今年4月に稼働させた。

日系プレスメーカーも奮闘中

とはいえ、日本車メーカーでホットプレスの採用がどこまで採用が進むかは未知数だ。ある日系プレスメーカーは「ホットスタンプでできることを冷間プレスでどこまでできるか試していく」と話すなど、従来技術を進化させようとしている老舗も多い。また軽自動車や小型車ではすでにぎりぎりまで薄くしたハイテン材を利用しており、「ホットスタンプでこれ以上薄くしても音が響いて静粛性が犠牲になる可能性もある」(中堅自動車メーカーの生産技術担当)との声もある。

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ゲスタンプが日本で勢力を伸ばす上でカギを握るのは提携する三井物産だ。同社幹部は「これまでの習慣を変えるのは簡単ではない。欧州と日本では車づくりの思想の違いもある」との認識を示すものの、ゲスタンプを支援していきたいという。

工場のオープンニングセレモニーには三井物産の飯島彰己会長も登壇し、「三井グループの発祥の地である松阪で工場を開設したことに改めて深い縁を感じている。三井物産の持つ機能や人材を活用してゲスタンプの価値向上に貢献していく」と断言した。

ゲスタンプは日本のものづくりに新たな風を起こすことができるか。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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