モノが売れない!「吉祥寺」に起きている異変 小売業の売り上げが東京平均以下に
「吉祥寺に入植したのはもともと、本郷という都会に住んでいた人たち。農作業より商売になじんでいたはずで、実際、五日市街道沿いでは農業の片手間に店を出す人が多かった。そうした積み重ねからか、古くからこの地で商売してきた人は長期的な視点で町全体を考えられる商売人が多い。排他的でなく、新しい人たちを受け入れ、仲良くしてきた。危機にあたっては『人が出入りする場所という町のDNA』を振り返ることが大事でしょう」
歴史は問題を作り出した要因であると同時に解決を示唆してくれる存在でもあるのだ。確かに低迷と言いつつ、吉祥寺には新たな成長企業も入ってきている。
「吉祥寺力」で危機を乗り越えられるか
2014年に中道通りから路地を入った地に1店目を構えたベンチャー企業ノットはその代表格だ。これまで考えられなかったほど安価で若い人でも買えるメードインジャパンの、しかも好みに合わせて会話しながらカスタムオーダーする時計を手掛けている。
これこそがかつての吉祥寺にあった、高額ではないがここにしかない商品である。しかも、この店を盛り立てたのは地元の情報発信力のある人たちだった。新しい人を受け入れ、いいと思えば助ける。吉祥寺らしさが新たな成長企業を後押ししたのである。
そのほかにも2018年6月にサンロードにオープンした、個性的な品ぞろえの日本酒店「未来日本酒店 KICHIJOJI」では、そのすべてを試飲することができる。今年12月にパルコの地下2階にオープンするミニシアターのシネコン「アップリンク吉祥寺パルコ」など今後の成長株も登場しつつある。
現状は決して明るくはないが、吉祥寺の人たちは、これまでも大型商業施設を商店街の周囲に回遊できるように誘致してきたという商売人たちである。目の前の危機を認識し、お寺さん(ここが多分すごく大事)などの地元の地主も取り込んで、「吉祥寺力」で立ち向かっていけば道は開けていくのではないか。親に連れられての買い物以来、吉祥寺を愛してきた身としてはその日を願ってやまない。
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