レジ待ち時間が減る?JR東の「無人決済」売店 「熟達おばちゃん」の役割をAIが担う時代

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AIによる無人店舗というと、あのアマゾンが展開を始めた無人コンビニ「Amazon Go」が連想される。また、もう少し原始的なところでは品ぞろえこそ少ないが自動販売機だって“無人”で買い物ができる店舗のひとつと見ることができる。

これらとの大きな違いは、どうやら「駅のキオスクの次世代版」というところにあるようだ。きっかけとなったJR東日本スタートアッププログラムも、JR東日本の持つインフラをベンチャー企業のアイデアで活用していくという主眼で始められたもの。この無人店舗も鉄道インフラありきで開発が進められているようだ。

将来的にどう展開していく?

柴田社長は「現時点では夢物語ですが」と前置きしつつ、「ホームやコンコース全体を店舗のようにできるとおもしろい」と話す。

無人決済の実証実験をする赤羽駅の店舗(編集部撮影)

「ホームに上がって中央の通路の両サイドに駅弁やドリンクが並んでいて、好きなものを取ってからSuicaをタッチして決済、そのまま電車に乗り込む……。もちろん今の段階ではAI無人決済店舗の実用化もまだまだ先ですから、完全に夢のような話かもしれません。でも、そうなったら楽しいと思いませんか」(柴田社長)

今やどの町にも“インフラ”としてコンビニが必要不可欠になっているのは周知のとおり。ただ、それと同じように駅のホームにも売店、キオスクはなくてはならない存在だ。

忙しい通勤の合間に飲み物や軽食を買ったり、心浮き立つ旅立ちの前に駅弁やビール、おつまみを調達したり。そうして駅のホームならではのちょっとした“旅情”が生まれている。無人化に一抹の寂しさを覚えなくもないけれど、「AIを活用した無人決済店舗」が次世代の「駅の売店」として旅の起点になるのではないか。

そんな期待をさせてくれる今回の実証実験。約2カ月間赤羽駅ホームで続けられているので、ぜひ足を運んで実際に体験してみてはいかがだろうか。

鼠入 昌史 ライター

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そいり まさし / Masashi Soiri

週刊誌・月刊誌などを中心に野球、歴史、鉄道などのジャンルで活躍中。共著に『特急・急行 トレインマーク図鑑』(双葉社)。

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