レジ待ち時間が減る?JR東の「無人決済」売店 「熟達おばちゃん」の役割をAIが担う時代

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「商品を選んで手に取った時点で把握されますから、決済エリアでは手に持っていなくても大丈夫。すぐにカバンに入れてしまっても問題ありません。万が一金額が間違っていても決済エリアで減算処理などができます」(JR東日本スタートアップの阿久津智紀マネージャー)

商品は複数選んでもきちんと認識される(編集部撮影)

「現時点では精度の問題も考慮して、3人までの入店とさせていただきました。実際にはもっと多くの方が入店しても大丈夫だとは思っていますし、ゴールは入店人数無制限。ですが、今回はあくまでも実証実験ということで」

商品を手に取ったり戻したりしてもまったく問題なく正しい金額が算出されるという。決済時間もほとんどかからないので、購入する商品があらかじめ決まっていれば、入店から退店まで、ものの10秒程度ということも可能だ。これならば、いくら熟達のおばちゃんでも太刀打ちできないだろう。

まだまだ課題はある「無人店舗」

「もちろん、カメラで識別しにくい紛らわしい商品の処理や、商品の入れ替え、パッケージ変更への対応、さらには酒類やたばこなどを販売する際の年齢確認など課題はまだまだあります。実際の運用の中でどの程度の精度を出せるかも確認したいところ。営業時間を平日の10~20時としているのも、こうした理由からです。ただ、赤羽駅のホーム上という現実のオペレーションに近い中で実証実験をすることで、本格的な実用に向けての課題が洗い出せるのでは」(阿久津マネージャー)

合計金額は画面に表示される(編集部撮影)

では、JR東日本ではこの無人店舗、どのような場所への展開を想定しているのだろうか。

交通系ICカードでの支払いが終わると出口のゲートが開く(編集部撮影)

「都市部では人手不足もあって売店の展開が難しくなっている部分がある。さらに環境の変化で不採算の店舗も増えている。また、地方の駅などで採算が悪くて閉めざるをえない売店も、この無人店舗が実用化されることで引き続き営業をすることもできる。実用段階に来れば、人手不足や不採算の店舗を補う形で展開できるのではないか」(柴田社長)

「正直なところ、完全無人化というのは難しいと思っています。そもそも品出しはどうしたって人の手が必要ですし。ただ、今まで4人必要だったところを2人にするとか、時間帯によっては無人化するとか、そういう対応が可能になってくるのでは」(阿久津マネージャー)

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