元SMAPの楽曲がパラテコンドーに与えた未来 「雨あがりのステップ」の寄付金で大会を開催

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取材に応じた伊藤力選手(筆者撮影)

メディアも多数取材に来ており、東京2020パラリンピックがあるからこそではあるとしても、競技場を囲むように観客席を設けて間近で見る迫力もあって、大会自体に活気があった。

「パラテコンドーの選手たちが(大会の中で)どんどん格好良くなっていると思いました」という岡本副会長は「選手と競技団体、そして支えてくれる人がいるから目に見える一体感がある」とこの大会を評した。30年度下期は伊藤、星野ら男子5人が強化指定選手、太田が育成指定選手に選考された。

パラサポセンターの金子知史・推進戦略部プロジェクトリーダーによると「これまでは選手が数人しかいなかった。でも東京パラリンピックが決まってから選手も徐々に増えてきています」という。しかし、上肢障害者は社会に溶け込んでいる場合が比較的多いといい、「選手探しに苦労するようです」と悩みもある。

「雨あがりのステップ」という楽曲が可能性を広げた

健常者の大会の中に組み込まれて行うと、どうしても埋没する可能性がある。

強化指定選手となった星野佑介選手(筆者撮影)

テコンドーに限らず、「自分たちが主役」というパラリンピック競技の単独開催大会をつくることで、今の選手のやる気を引き出し、未来の選手発掘の場にもなりそうだ。

「雨あがりのステップ」寄付金は、国際大会、国内大会ですでに開催したものも含め、17の大会、イベントに活用される。

東京2020オリンピック・パラリンピックの大会関連経費が10月初旬の会計検査院の調査発表で約3兆円に膨らむ可能性があることが指摘されたばかり。

政府や組織委は「直接経費ではない」などと反論しているが、立候補の段階では開催予算7340億円であったから、計算する度に増えていく感じだ。

予算や内訳があってないようなことになっているお金(主に税金)に比べ、今回取り上げた2300万円余の寄付金は、確かにパラリンピックの応援につながる大会やイベントの観戦拡大に使われる。

チャリティー期間が終了した現在は「雨あがりのステップ」をダウンロードしても寄付金にはならないが、知らない人は聞いてみてはいかがだろうか。パラスポーツを支援するという明確な目的が耳に残れば、これからパラスポーツを見る目も変わってくるかもしれない。

(文中敬称略)

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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