日本代表、吉田麻也が築く新リーダーの役割 ウルグアイ撃破、「新ビッグ3」躍動し3連勝

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しかしながら、前任者・長谷部同様、言うべきことがあれば言わなければいけないのがリーダーの役割だ。特に堂安と中島の両サイドアタッカーは守備面でまだ見劣りする部分がある。

この日の日本もベルギー戦と同じ3失点。その多くが三浦弦太(ガンバ大阪)の個人的ミスやリスタート時の対応の悪さによるものだったが、彼らのところでもっとハードワークをして後ろを助けなければいけないのは事実だろう。

「今日に限っては、彼らのよさをつぶしたくなかったんで、どんどん行ってくれと思いましたね。ただ守備のところで改善しなければいけないところはたくさんある。ワールドカップを見てもらってもわかるように、乾(貴士=ベティス/スペイン)も元気(原口=ハノーファー/ドイツ)もチームのためにハードワークして戦ってくれた。

両サイドが上下動を多くして、踏ん張ってもらわなければ、現状、僕らのレベルではポットワン(ワールドカップ本大会組み合わせ抽選時の最上位ランク)に入るようなチームと対等には戦えない」と大型DFは厳しい見方をしていた。

課題を明確に伝えていくのは、指揮官の役目でもあるが、キャプテンはピッチ内外でそこにも気配らなければいけない。

ワールドカップに2度出場し、イングランドで7シーズンプレーすることで世界基準を体感してきた吉田麻也はそれができる人間。森保監督はそう認めたからこそ、あえて秘蔵っ子・青山ではなく、彼に統率役を任せたはず。その一歩としてウルグアイ戦は順調な滑り出しとなったが、ここから訪れるであろう修羅場や苦難をどう乗り越えていくのかが気になる。

年明けのアジアカップをいかに勝ち抜いていくか

さしあたって、11月のベネズエラ(大分)・キルギス(豊田)との親善試合2連戦、そして8年ぶりのアジア王者奪回のかかる2019年1月開催のアジアカップ(UAE)が最初の正念場となる。

「今はザッケローニさんのチームが始まった8年前を思い出すような勢いがある」と長友は2011年アジア制覇の頃に似たムードを感じているというが、アジアで頂点に立つことは、ある意味、ワールドカップで勝ち上がることより難しい部分がある。そこを新キャプテンの吉田が若い世代にしっかりと伝えていくことが肝要だ。

(文中敬称略)

元川 悦子 サッカージャーナリスト

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もとかわ えつこ / Etsuko Motokawa

1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。

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