就活で「青田買い」を解禁せざるを得ない事情 横並びの新卒一括採用はもう限界が来ている
10月9日、経団連は大手企業の就職・採用活動の解禁日など定めた指針、いわゆる「就活ルール」の廃止を正式に決定した。
廃止時期は2021年春に入社予定の新卒採用とされているが、混乱を避けるために政府が新たにルールを設けて企業に要請するとみられており、今回の廃止によっていきなり大きく変化することはないだろう。
しかし、実際にここ数年でも、現行ルールの課題や矛盾点に危機感を持ち、新たな採用のあり方を提示した企業も出てきており、着実に変化の波は来ている。そこで今回は、数多くの企業の採用支援と同時に、個人のキャリア開発支援も手掛けている筆者の視点から、新卒採用の変化と今後についてお伝えしてみたい。
就活ルールとはいったい何だったのか
変化についてお伝えする前に、そもそも就活ルールとは何だったのか。その目的をおさらいしておきたい。就活ルールは、1953年に企業側と大学側とで「就職協定」を結んだことに端を発する。名称や趣旨は時代と共に変化しているものの、根本となる考え方はいわゆる「青田買い」を防ぐことで、企業に公平・公正な採用活動を促し、学生が学習・研究に費やす時間を確保することにあった。
ちなみに、「3月に会社説明会がはじまり、選考は6月から」という現行スケジュールは、2017年入社からの指針であり、今年実施された2019年入社採用を含めてもまだ3年しか運用されていない。それ以前は、2016年入社が「3月説明会解禁→8月選考解禁」、2013年~2015年入社が「12月説明会解禁→4月選考解禁」と、企業・大学双方の意向をくみ取りながら調整を続けてきたのだ。
しかし、実態として起きていたのはルールの形骸化だ。まず、外資系企業や新興企業など、経団連に加盟していない企業はこの指針を遵守する必要がなく、独自のスケジュールで早期の新卒採用を行っていた。そのため、指針通りに活動する企業ほど採用に不利になるという構造が出来上がり、それを危惧した企業が苦肉の策で行ったのが、インターンシップやOB・OG面談の形をとった、実質的な選考である。
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