ポスト安倍レース、6人の混戦模様でスタート 首相の衆参選挙戦略でシナリオは変わる

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野田氏は党内の支持基盤づくりに課題(撮影:尾形文繁)

「初の女性首相」を目指す野田氏は3年前と今回の総裁選で、いずれも20人の推薦人確保に失敗したことから、党内支持議員の拡大が最優先課題となる。無派閥で「個人的友情が頼りだった推薦人集め」(周辺)への反省から、総裁選後は自身に近い議員の協力を得て、無派閥議員などとの懇談の場をつくり、大好きなお酒を酌み交わしてシンパを増やしたい考えだ。

自民党は今回の党・内閣人事の一環として、野田氏の衆院予算委員長起用を内定した。高市早苗元総務相の衆院議員運営委員長(互選)と併せて、「女性活躍」を内閣の売り物にする首相の意向も踏まえた人事だ。予算委員長は「国会審議の花形」で女性は初めて。テレビ中継される予算審議の"顔"となれば地方票拡大にも結び付くだけに「本人も大喜び」(側近)とされる。

改造人事では片山さつき地方創生担当相が唯一の女性閣僚となったが、野田氏は9日の女性活躍担当相としての引き継ぎで、「総理が(片山氏に)『2人分、3人分(仕事をしていただける)』とおっしゃったけど、それは違う。1人でできることをしっかりやっていただければいい。女性だから頑張るとか、能力を主張するという考え方を改めるべきだ」と、あえて首相に苦言を呈した。

「(首相とは)当選同期なので耳の痛いこともどんどん言う」と胸を張る野田氏だが、「推薦人が集まらないのは目立ちたがりの性格が原因」(無派閥有力議員)との声もあり、地方行脚も含めて「地道な活動」が当面の課題となる。

「河野氏の後ろ盾」麻生氏、菅氏の軋轢

"河野外交"を展開、総裁選への意欲を示す(撮影:尾形文繁)

その一方で「ポスト安倍のニューフェース」として注目されるのが河野、加藤、小泉の3氏だ。中でも河野氏は昨年8月の外相起用で「水を得た魚」(首相周辺)のように精力的な"河野外交"を展開している。総裁選にも1度出馬した経験があり、今回の総裁選後の記者会見でも「いずれ総裁選に名乗りを上げたいと思っている」と出馬への意欲を明言した。

河野氏は麻生派に所属するが、「政治的な後ろ盾」は菅義偉官房長官だ。前回人事で首相に外相起用を進言したのも菅氏とされ、「ポスト安倍候補」として後押しする構えだ。一方、河野氏の父親の河野洋平元衆院議長の側近だった麻生氏も「麻生派の首相候補」として河野氏に目をかけている。ただ、党内では麻生、菅両氏の政権運営をめぐる軋轢(あつれき)も取りざたされるだけに、河野氏出馬の際は「ひと悶着ある」(麻生派幹部)との見方もある。

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