ポスト安倍レース、6人の混戦模様でスタート

首相の衆参選挙戦略でシナリオは変わる

首相側近で竹下派の加藤氏も注目される(撮影:尾形文繁)

今回、党の最高議決機関の総務会を仕切る立場となった加藤氏も将来の総裁選出馬を視野に入れる。加藤氏は9日の記者会見で「将来、首相を目指すのか」と問われると「つねに高みを見据えながら進めていきたい」と胸を張った。

加藤氏は竹下派所属ながら首相の最側近の1人で、第2次安倍政権発足以降、官房副長官や厚生労働相など政権の中枢を歴任して頭角を現した。穏やかな物腰だが、大蔵省から政界入りした経緯も含め、党内では「上昇志向の強い人物」(竹下派幹部)とみられている。

ただ、総裁選出馬の足場ともなる竹下派では「彼は隠れ細田派」(同)との位置づけで、竹下派の首相候補としての出馬は壁が高い。このため。9日の会見でも「与えられた仕事をしっかりやり遂げることが肝要だ。先のことを具体的に考える余裕はない」とポスト安倍については慎重な物言いにとどめた。

ポスト安倍レースで、永田町だけでなく国民的注目を集めているのが小泉氏だ。今回の総裁選では投票直前に「石破氏支持」を表明した。この対応については永田町でも「絶妙なタイミング」「計算高く姑息」と評価が割れた。その後の党・内閣人事でも取りざたされた入閣や官房副長官起用は見送られ、筆頭副幹事長からも外れた。小泉氏自身は「政策勉強のため党厚生労働部会長を希望している」(周辺)とされ、執行部も受け入れる方針だが、党内には「当分は雑巾がけに徹するべきだ」(党幹部)との声も広がる。

小泉氏の父親の小泉純一郎元首相が講演などで「憲法改正なんてできっこない」などとあらためて首相批判を展開したこともあり、党内では「安倍政権では反主流」(細田派幹部)との位置づけだからだ。ただ、国民的人気は依然として抜群で、来年の統一地方選や参院選での「最強の応援弁士」だけに、首相サイドも「冷や飯組とは違う」(党幹部)と別格扱いだ。 

衆参選挙が首相の政権維持の「関門」に

首相は2日夜の記者会見で党・内閣の新布陣を「平成の、その先の時代へ向かう国づくりのスタート」と位置づけた。天皇退位・新天皇即位で平成が終わる来春以降を見据え、"ポスト平成"となる新時代の国づくりの道標を、自ら定める考えを強調したものだ。

政治史から見ると、健康問題以外で首相の進退が問われるのは、①衆議院での内閣不信任案可決、②所属政党の党首選で敗れる、③国政選挙で大敗、④首相をめぐる大スキャンダル発覚――の4ケースに大別される。現状では、①はほとんど可能性がなく、④も想定しにくいので、首相の任期途中での退陣につながるのは、③に絞られる。2021年9月末という首相(総裁)の任期切れまでの政治日程を見れば、2019年夏の参院選と2021年10月の衆院議員任期満了までに実施する衆院選が首相の「政権維持の関門」となる。

首相は「3年間の任期全う」を強調しているが、党内には「参院選で惨敗すれば首相退陣もありうる」との声がある。さらに、2020年夏の東京五輪後との見方が支配的な解散・総選挙で自民党が大幅に議席を減らせば、首相の進退が問われる。つまり、首相が2019年夏の衆参同日選を断行しない限り、任期中に2回の「関門」が待ち構えているわけだ。

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