銀行がダメなのは「金融緩和」のせいではない 「副作用」を声高に主張する人達の論理を疑え

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金融機関が、これまで貸し出し金利のベースだった長期金利が低下して貸出金利が下がったり、有価証券運用で利益を出しにくくなったりしたことは、事実の推移として一部その通りだ。

問題の本質は「銀行のビジネスモデルの行き詰まり」

しかし、たとえば銀行が、有望なビジネスを見つけて成長のための資金を貸したり、あるいは顧客に対してコンサルティング的な付加価値を持っていたりするなら、例えば短期金利にスプレッド(利鞘)を乗せて貸してもいいし、何らかの手数料を別途取るビジネスで儲けてもいいはずだ。

それが出来ていないということは、銀行の存在と彼らが提供するサービスに十分な価値がないということなのであって、金融政策に根本的な問題があるわけではない。銀行の「ビジネスモデルの行き詰まり」にこそ問題があって、低金利政策はそれを分かりやすく露呈させただけだ。

前回の金融政策決定会合後の記者会見で、黒田東彦日銀総裁は「金融機関の経営のために金融政策をやっているのではない」と明言したが、金融機関の経営のために長期金利を上げるべきだというようなことはないと、この際はっきり確認しておくべきだろう。

また「本業が儲からないから、金融機関は強引な金融商品販売に走っているのだ」、というストーリーにも無理がある。もちろん、本業が儲からないから、別で稼ぎたいという心情は理解できる。泥棒を捕まえてみたら、「腹ぺこだった」と言い訳することは十分あり得る。

しかし、思考実験してみよう。仮に、本業も儲かるようになった場合(根本的にはありそうにないと思うが)、金融機関は、運用商品販売による手数料稼ぎの手を緩めるのだろうか?

別のビジネスが儲かるようになったからといって、今儲かっているビジネスの手を抜くというようなことがあるだろうか。それは、経営者も株主も許すまい。捕まらずに盗み続けることができると確信するなら、泥棒は、腹ぺこでなくても盗み続けるだろう。

ダメなビジネスモデルは結局ダメなのだし、悪い商品販売はそれ自体が悪いのだ。「日銀の金融緩和政策のせい」に関連づけるのは、お門違いだ。

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