中野:3選によって、安倍政権はあと3年間も政権が続くわけですが、期限を切られたわけでもあり、残り3年間で何をやり遂げるかが求められてくるでしょう。そのうちのひとつが消費税率の引き上げです。税率引き上げ前は駆け込み需要が期待できますが、引き上げ後は個人消費が落ち込み、景気はスローダウンするでしょう。今の財政状況からすれば、消費税率の引き上げは必至ですが、景気に及ぼす悪影響をどう軽減するか、今から考えておく必要があります。
渋澤:「バラマキ政治」が派手になったりして。
中野:それは、どういう意味で?
渋澤:安倍首相にとって憲法改正は悲願ですよね。それを実現するには、国民投票で過半数の賛成が必要ですから、国民の支持が必要なわけです。そうだとしたら、とりあえずお金をばらまいて、人気取りをすることも十分に考えられませんか。
生活を向上させるには原則自分自身で工夫を
中野:なきにしもあらずですが、現状では安倍首相の意識は国防に向いており、経済的に国民を幸せにしたいという意識は、相対的に希薄だと思います。なので、国民が生活を向上させるためには、自分自身で工夫するしかありません。だからこそ、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)などが、安倍政権の下でできたわけです。
こうした投資非課税制度を充実してくれたという点で、安倍政権の功績は大きいと思います。今までの日本って、とにもかくにも「全員平等」と思わされるような、ある種のカモフラージュが施されていたわけですが、もうそんなことをしている余力はどこにもない。だからこそ自分で気づき、自分で行動できる人に対して、手厚くサポートするという政策に変わっていくと思います。私たちは、そこをしっかり理解する必要があるでしょう。
渋澤:もちろん社会的弱者に対しては、政府が積極的に救済措置を取る必要はあると思いますが、フリーライドは認めないということですね。
中野:フリーライドへのバッシングは今後も続くでしょう。
渋澤:安倍首相は今回の再選で、さらに3年間、任期を先延ばしにしたわけですが、3年後というと2021年で、東京オリンピック後を見据えることになります。おそらく、オリンピックが終わった後の日本経済は、今よりも難しい状態になるでしょう。いろいろなところで世代交代が起こり、人口減少は加速します。経済的には、ネガティブな要因の可能性がたくさんあるだけに、ポストオリンピック(五輪後)の青写真をどう描くかが、これから3年間の安倍政権には問われてくるでしょうね。
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