小学校の英語教育に潜む3つの深刻な「わな」

これでは英語は話せるようにならない

こうした意欲を育てるには、題材の内容が重要です。なぜなら子どもは英語の内容を重視しながら学ぶからです。子どもだからどんな内容でもいいわけではなく、むしろ題材選びは重要です。

ある小学校5年生のクラスで、「Can you speak Japanese?」という例文を使用した授業での出来事です。子ども同士がペアとなり、文章を変化させて質問し合いました。そしてある男子が「Can you speak Spanish?」と相手に聞いたところ、「話せるわけねーだろっ!(笑)」と笑いながら返事が返ってきました、それも日本語で。

意味のない質問をしたところで…

子どもは話される英語を聞きながらも、実は内容を重視しています。英語の質問に対して、単に英語で話される質問ではなく、実際に自分に対しての質問としてとらえているのです。これまで行われてきた中学校の英語の授業では、「Can you speak Spanish?」と聞かれたら、「No, I can’t.(またはYes, I can.)」と何の疑問もなく答えていたでしょう。「これは文型の練習だ」と考えて、内容がさほど自分に関係なくても、割り切って返答しているのです。

しかし、小学生だとそうはいきません。質問された内容は、まさに自分に尋ねられた内容ととらえます。なので、意味のない質問をされると英語自体に興味を持てないうえ、身に付けることができません。必要なのは、子どもが興味を持てる質問をすることです。

ある英語教室では、遅刻してきた子が 「I’m sorry to be late.」と言ってから教室に入るように指導されていました。その教室に通っていた中学生は、小学生の時は、それが不定詞の表現だったなどとは理解もしていませんでしたが、「中学校で不定詞を習ったときに、あの『I’m sorry to be late.』 がグッと身に染み込んだ感じがした」と話していました。

教えられたときは気づかなかったことも、使う場面と音を覚えていたからこそ、文法事項として習った際に自分の言葉として取り込むことができたのでしょう。出合ってすぐにその英語を実感できなくても、後になって理解することもあるのだと大人は知っておきたいものです。

これまでの学校英語では、自分の生活や文化に関係しないことを題材として学んできました。黙々と勉強する英語の題材を自分のこととして読むことができず、多くの場合、英語はただ単に学ぶ対象の学問としてとらえられてきたのではないでしょうか。それだからこそ、実際に使ってコミュニケーションしてみる英語は身に付きにくかったともいえるのです。

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