北九州市議「海外視察ツアー」謎だらけの顚末

血税800万円の投下が市政にどう生きるのか

地方議会の政治家たちは主に旅行代理店を使って海外視察に行く。入札で行われるのが一般的だが受注した旅行代理店はきちんと「旅行のしおり」まで作り、全日程に同行してくれるのだ。地方議会の中には任期期間中に少なくとも1度海外視察に行くということが半ばルール化されている議会もあり、上限の金額はさまざまだが、ある地方議員が「任期を勤め上げたご褒美みたいなもの」と語るほどまるで「観光ツアー」のようなものが多い。

行政視察は1日に1~2つで、そのほかの時間は何を?

番組では多くの自治体の海外視察資料を調査したが、おおむね人気なのが欧州、北米、アジアはタイ、ベトナムとシンガポールだ。行先はだいたい現地の日本法人か行政視察が1日に1つか2つスケジュールで入っている程度である。そのほかの時間は何をしているか不明である。

もちろん、すべての議会がそういうわけではないだろうし、過密スケジュールの中で綿密な視察を行っている地方議会もあるだろう。しかし、団体で大名行列のように訪問し、「あの施設を見てきた」「役所でレクチャーを受けた」「現地で活動する日本企業を見てきた」というのがほとんどで、それを「報告書」にまとめて終わるのが多いのではないだろうか(中には何かの記事をコピペまでして報告書を仕上げる政治家もいる)。

マドリード市役所前で記念撮影をする一行。「実録!金の事件簿」は10月5日(金)19時からフジテレビ系列で放送(一部地域除く、写真:フジテレビ)

今回の北九州市議もいくつかの施設を視察してきたようだが、報告書にはそれを具体的にどうこれから北九州市に生かしていくのかということはあまりよくわからない。

ちなみに、これまで北九州市議会では報告書は一般公開されておらず、情報公開請求して初めて目にすることができたのだが、番組の取材を受けて初めて北九州市議会はわざわざ報告書をHPに初めて公開した。「視察はきちんと行ったのだ!」とどうしてもわかってほしいようだ。

多くの地方議会で見直しが行われている中、市民の“血税”を使って行われた海外視察。報告書を書いて満足するのではなく、しっかりと市民生活に役立つようにしてもらいたいものだが……団体旅行のような形で行く海外視察のあり方。もっと議論されていいだろう。

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