原料は危ない人毛も?激安サプリは買うな 「サプリメントの正体」の著者がやさしく解説②

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この人毛アミノ酸、あまり気分のいい話ではないと思いますが、それ以外に安全性の面でも心配な点があります。髪の毛というのは、一種の排泄器官でもあり、体に入ってきた有害な重金属(水銀など)を排出する役目も担っています。

中国は今、大気汚染、水質汚染、土質汚染が深刻な状況となっています。そうした環境で暮らしている人の髪の毛には、一般的に有害物質がより多く含まれている可能性がある、と考える方が自然でしょう。そういうものを原料としたサプリメントを口にするリスクを考えて欲しいと思います。

とはいえ、何がアミノ酸の原料に使われているかは、パッケージからは読み取れません。アミノ酸原料の規格書には「原産国 中国」「原料起源 人毛」と記載されているのですが、そうした情報をわざわざパッケージに書くメーカーはまずありません。また、問い合わせたところで、正直に答えてもらえるとも思えません。こうした視点からも、あまりに安価なアミノ酸系のサプリメントは避けたほうがいいと思います。

添加物コテコテのサプリにも注意

また、サプリメントは、栄養素や有効成分だけで作られているわけではありません。味をつけるための甘味料、日持ちをよくするための保存料、それから増量剤や形を作るための賦形剤など、さまざまな添加物が使われています。サプリメントを作る上で最低限必要な添加物はあるのですが、中には添加物が大量に使われているものもあり、中には重量の99.9%が添加物というサプリメントもあります。

こうした添加物の中にはアレルギーを起こしたり、毒性が心配されるものもあります。サプリメントの添加物としてよく使われる「乳糖」は、日本人に多い「乳糖不耐症」の人が摂ると、お腹の調子が悪くなりますし、乳製品にアレルギーのある人にとってはアレルゲンとなります。

またドリンク剤、ゼリー、チュアブルタイプに多く使われる人工甘味料には、安全面での問題が懸念されているものもあります。たとえばアスパルテームは脳腫瘍や発ガン性の可能性、アセスルファムKは肝臓へのダメージや免疫に影響を与える可能性、スクラロースは脾臓や免疫系、脳にダメージを与える可能性がそれぞれ指摘されています。粉末のアミノ酸サプリメントには、こうした合成甘味料が含まれているものも多くあると思います。

こうした実態を踏まえると、安易にサプリメントに手を出すのは、実は危険なことだと言わざるを得ません。健康のために摂っているつもりが、「飲めば飲むほど健康から遠ざかっている」かもしれないのです。

田村 忠司 ヘルシーパス代表取締役社長

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たむら ただし / Tadashi Tamura

1965年生まれ。富山県出身。1988年東京大学工学部産業機械工学科卒業。同年、株式会社リクルートに入社。10年間にわたり、通信事業を中心に経営戦略、新規事業立案、マーケティング戦略立案に従事。1998年「日本老化制御研究所」を擁する日研フード株式会社に入社。取締役経営企画室長、サプリメントの製造子会社の代表取締役社長として活動。2006年「医療従事者が自信を持って使えるサプリメントを提供してほしい」という医師、薬剤師からの要請と出資を受け、株式会社ヘルシーパスを設立。栄養療法に取り組む医師・歯科医師へのサポート・情報提供のため、日本全国を飛び回り、楽しく仕事に取り組んでいる。著作に『サプリメントの正体』(東洋経済新報社)、『健康長寿の栄養学ハンドブック』(日本アンチエイジング歯科学会編:草隆社)、『自由診療・サプリメント導入実践マニュアル』(医業経営研鑽会編:日本法令)がある。

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