ドローン活用で日本が「周回遅れ」の根本原因

サービス化では欧米が圧倒的に先行している

屋根の点検のため愛知県庁の本庁舎を空撮するドローン(写真:共同通信)

ドローンは空を飛んだうえで「何に役立つか」が肝心だ。米国にはドローンを用いたサービスや、航路プランニング・測量のソフトウエア開発といった、ハードウエア以外の関連企業が約170社存在する(アエリアル・イノベーション調べ)。

英国には、ドローンによる設備点検で国内外のエネルギー業界大手から仕事を請け負う企業も存在する。「欧米はドローンをただの手段と考え、アプリケーションやサービスをどんどん作っている」(春原氏)。一方、日本にはハードウエア以外の関連企業はたった9社しか存在しないとされる。

ドローン活用には大手企業の参画がカギ

PwCコンサルティングの推計では、今後、世界最大の活用分野になるのはインフラ点検だ。日本でも高度経済成長期に整備された道路や橋脚などインフラの老朽化が進み、需要は大きい。

加えて、メンテナンスを担う建設業界は、技術者不足などの課題を抱える。ドローンファンドの大前創希共同創業者も「10年後に日本の橋の半分は建設から50年を超える。活用を躊躇する時間はない」と語る。

当の建設業界はどうか。前出の春原氏は「日本の建設業界で点検以外にドローンといえば、測量が真っ先に来る」と指摘。「欧米では、工事の進捗を毎日確認しコストを削減する手段としての普及が進む」と、日本のドローン活用が「周回遅れ」であることを嘆く。

当記事は「週刊東洋経済」10月6日号 <10月1日発売>からの転載記事です

現状打破には大手企業の参画が欠かせない。昨年はソフトウエアのベンチャー、テラドローンがかかわるドローン警備実験で、警備業界最大手のセコムの協力をNEDOが後押しした。大手を巻き込めば、ニーズの吸収や事業化もスムーズだ。

世界でもドローン活用は黎明期。作る以上に「使う」目線の支援ができれば、日本はまだ巻き返せる。

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